2001 Fiscal Year Annual Research Report
DNAチップを用いた細胞のアポトーシスにおける遺伝子発現ネットワークの解析
Project/Area Number |
13450341
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本多 裕之 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (70209328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花井 泰三 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (60283397)
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Keywords | DNAチップ / 遺伝子発現プロファイリング / ネットワーク解析 / 肺上皮正常細胞 / サイトカイン / 温熱処理 / クラスタリング / アポトーシス |
Research Abstract |
網羅的な遺伝子発現情報を調べることができるDNAチップを用いて、サイトカイン添加や温熱処理といった、化学的・物理的刺激に対するの細胞レベルでの応答を調べ、遺伝子発現ネットワークを解析することで、未知の遺伝子の機能予測や、遺伝子発現のコントロール、ガンや心疾患などの重篤な病気の治療や薬剤の開発に資する基礎研究を行うことを目的とする。具体的には、上記刺激に対する遺伝子の発現情報を経時的に分析し、遺伝子の相互関係を明らかにする。本年度は下記の研究を行った。 (1)サイトカインTGF-βの添加による肺上皮株化細胞HPL1の遺伝子発現解析 10,784遺伝子がスポットされているマクロアレイを用いてTGF-β添加後の遺伝子発現プロファイルを調べた。TGF-βは細胞増殖、組織修復、分化などを促進するサイトカインであり、正常細胞は細胞増殖抑制機能を示す。ガン細胞ではこういった応答性を失うことが知られている。正常細胞で遺伝子発現応答を解析すれば、ガン発生のメカニズムの追及につながる。TGF-β添加後の遺伝子発現比を調べた。標準偏差に基づきスクリーニングする方法を新規に考案し、定量的PCRの結果と比較したところ、1.2倍程度の発現比でもマクロアレイのデータから正確にスクリーニングできることがわかった。この方法で、遺伝子発現が変化した機能既知の遺伝子、124遺伝子で遺伝子発現変化があることがわかった。 (2)適応共鳴理論(ART)などによる遺伝子のクラスタリング 上記(1)で拾い上げた遺伝子を、我々がすでに考案している教師データなしクラスタリング手法Fuzzy-ARTで解析した。その結果、すでに応答することがわかっている2遺伝子とは別に、早期に応答する遺伝子、3個を新たに発見することができた。 (3)温熱ストレスによるガン細胞のアポトーシスの解析 ラット脳腫瘍細胞を43℃1時間の温熱処理し、アポトーシス検出キットを用い、フローサイトメーターで解析したところ、ほとんどの細胞でネクローシス死していることがわかった。
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