2002 Fiscal Year Annual Research Report
DNAチップを用いた細胞のアポトーシスにおける遺伝子発現ネットワークの解析
Project/Area Number |
13450341
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本多 裕之 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (70209328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花井 泰三 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (60283397)
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Keywords | DNAチップ / 遺伝子発現プロファイリング / ネットワーク解析 / 温熱処理 / クラスタリング / 細胞死 / ストレス応答 |
Research Abstract |
網羅的な遺伝子発現情報を調べることができるDNAチップを用いて、サイトカイン添加や温熱処理といった、化学的・物理的刺激に対するの細胞レベルでの応答を調べ、遺伝子発現ネットワークを解析することで、未知の遺伝子の機能予測や、遺伝子発現のコントロール、ガンや心疾患などの重篤な病気の治療や薬剤の開発に資する基礎研究を行うことを目的とする。具体的には、上記刺激に対する遺伝子の発現情報を経時的に分析し、遺伝子の相互関係を明らかにする。本年度は、(1)化学的・物理的刺激に対する微生物細胞の応答として大腸菌の有機溶媒接触ストレスを、(2)動物細胞の熱ストレス応答をヒト子宮頸癌HeLa細胞を使って、DNAマイクロアレイで解析した。また、遺伝子発現ネットワーク解析のため、酵母の浸透圧ストレスを解析した。 (1)大腸菌の有機溶媒接触ストレス応答 大腸菌JA300株がデカン、ヘプタン、ヘキサンと接触した前後の遺伝子発現プロファイルを比較したところ、細胞外の硫酸イオンを取り込んでシステインを合成するまでの経路で、多くの遺伝子が有機溶媒によって誘導されてた。システインはアミノ酸の一種であり、還元性をもつSH基を持っているためこの経路の活性化が、有機溶媒耐性機構に関係するのではないかと推察された。 (2)Hela細胞の熱ストレス応答 Hela細胞に44℃1時間の熱ストレスを与え、遺伝子発現プロファイルを調べたところ、温熱処理直後から発現誘導される遺伝子41個が見つかり、そのうちの一つ、Matrix Metalloproteinase 3が熱ストレス応答に強く関与し、この酵素の阻害剤が熱ストレスの感受性を高めることがわかった。 (3)酵母の浸透圧ストレスの遺伝子発現ネットワーク解析 浸透圧ストレスを加えた後の遺伝子発現を解析した。全96遺伝子をFuzzy ARTでクラスタリングしたところ、19個のクラスターに分かれ、発現時期の早さで遺伝子発現ネットワークを描いたところ、浸透圧調節作用のあるglycerolの合成経路、HOG-MAPK cascadeといわれるストレス適応経路、および糖新生に関する経路が活性化していることがわかった。
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