2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子の配位を鍵とする炭素不活性結合の触媒的切断
Project/Area Number |
13450364
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
茶谷 直人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30171953)
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Keywords | アシル-炭素結合切断 / クロスカップリング / 有機ホウ素試薬 / 炭素-水素結合切断 / カルボニル化 / ルテニウムカルボニル / ロジウムカルボニル / 炭素不活性結合 |
Research Abstract |
本研究では、遷移金属錯体を触媒とするエステル類のアシル炭素-水素結合の切断反応の開発を目的とした。既に、われわれのグループでは、ルテニウムを触媒とする、エステル類の還元的脱カルボニル化反応を見いだしている。具体的には、ピリジルメチルエステルをギ酸アンモニアとルテニウムカルボニル触媒存在下、反応させると脱カルボニル化が進行し、炭化水素類が生成する。さらに、求核剤として有機ホウ素試薬を用いると脱カルボニル化は全くおこらず、対応するケトンが生成することを見いだしている。本年度は、本反応を合成化学反応に資するため官能基許容性および反応例の少ないアルキルホウ素試薬を用いた非対称アルキルケトン合成の検討を中心に行なった。現在のところ、9-アルキル-9-BBNをホウ素試薬として用いると収率に問題があるが、アルキル基の導入も可能であることを見出した。 さらに、炭素-水素結合の直接カルボニル化反応の検討も引き続き行った。いままでのオルト位カルボニル化に適用できた基質は、ベンゼン環と配向基の炭素-窒素結合が共役しているもののみであった。しかし、ピラゾールも配向基として働くことがわかった。さらにルテニウムだけでなく、アミド系溶媒を用いると、ロジウムも高い触媒活性を示すことを見いだした。アミド系はピリジルベンゼンのオルト位カルボニル化にも有効であることがわかった。この場合、ルテニウム、ロジウムどちらも高い活性を示した。 ピリジンメタノールを用いるとアルケンのヒドロエステル化反応が温和な条件で進行することも見いだした。
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[Publications] Naoto Chatani: "Ruthenium-catalyzed C-H/Co/Olefin Coupling Reaction of N-Arylpyrazoles. Extraordinary Reactivity of N-Arylpyrazoles toward Carbonylation at C-H Bonds"Journal of the Organic Chemistry. 69・19. 7538-7540 (2003)
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[Publications] Naoto Chatani: "A Chelation- Assisted Hydroesterification of Alkenes Catalyzed By Rhodium Complex"Organic Letters. 5・23. 4329-4330 (2003)