2002 Fiscal Year Annual Research Report
次世代銅生産技術としての黄銅鉱の電位制御高速リーチング法に関する研究
Project/Area Number |
13450412
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
恒川 昌美 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40002026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広吉 直樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50250486)
平島 剛 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00175556)
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Keywords | 黄銅鉱 / 浸出 / 酸化 / 電位 / 金属イオン / 活性炭 / 鉄酸化細菌 / 還元 |
Research Abstract |
鉄酸化細菌Thiobacillus ferrooxidansを用いて黄銅鉱の浸出実験を行い,溶液電位とCu溶出量の経時変化を調べた。鉄酸化細菌の存在下ではその作用により黄銅鉱から溶出してきたFe(II)が酸化剤であるFe(III)に酸化されるので,溶液電位は時間の経過に伴って上昇した。Cu溶出速度は実験開始直後には高かったが,溶液の電位が高くなると低下した。以前の研究で報告した反応モデルによると,低電位領域では黄銅鉱の還元により反応中間体Cu_2Sが生成し,このCu_2Sの酸化に伴って高い速度でCuが溶出してくるが,溶液電位がCu_2S生成の臨界電位を超えると中間体Cu_2Sが生成しないのでCu溶出速度が低下するものと推測された。そこで,この反応モデルに基づく熱力学計算の結果と実験結果を比較したところ,溶液電位(実測値)が臨界電位(計算値)を上回った時点からCu溶出速度が低下しており,モデルの妥当性が確認されると共に鉄酸化細菌は黄銅鉱浸出の電位依存性に顕著な影響を及ぼさないことが明らかとなった。 種々の濃度のFe(III)とFe(II)を含む硫酸溶液を浸出液に用いて黄銅鉱の化学浸出実験を行い,黄銅鉱浸出の電位依存性に及ぼす各種金属イオンと活性炭添加の影響を調べた。 Zn(II),Ni(II),Mn(II),Co(II),Cd(II)は黄銅鉱浸出の電位依存性に顕著な影響を及ぼさなかったが,Ag(I)あるいはBi(III)を浸出液に添加すると,臨界電位が上昇して,高速浸出の起こる電位域が拡大した。種々の電気化学測定や反応モデルに基づく理論計算の結果,Ag(I)やBi(III)は黄銅鉱還元の際に発生するH_2Sを金属硫化物沈澱として液相から除去し,より高い電位でCu_2Sを生成させるものと推察された。活性炭も黄銅鉱浸出の電位依存性に対してAg(I)やBi(III)と同様の影響を及ぼし,高速浸出域をより高電位側に拡張させた。別に行った実験により活性炭はH_2Sの吸着剤・酸化触媒として作用することが確かめられたことから,黄銅鉱浸出に及ぼす活性炭の効果もAg(I)やBi(III)の場合と同様にそのH_2S除去能に基づくものと推定された。
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