2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13460004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 淳 九州大学, 農学研究院, 教授 (00182816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 一行 九州大学, 農学研究院, 助手 (80315134)
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Keywords | イネ / 近縁野生種 / 栽培化 / 脱粒性 / 染色体断片置換系統 / 遺伝子単離 / 非対立遺伝子間相互作用 / 遺伝子座内変異 |
Research Abstract |
本研究は(1)脱粒性遺伝子Sh3の単離・同定,(2)栽培イネにおける非脱粒化機構の解明の2項目からなり,研究実績の概要は以下のとおりである. (1)脱粒性遺伝子Sh3の単離・同定 O.glumaepatula由来のSh3遺伝子を導入した形質転換イネを作成し,それらが脱粒性を示すこと,およびその後代で脱粒性と外来の形質転換遺伝子とが共分離することを確認した.ところが,この候補遺伝子のcDNA配列の一部を得た結果,O.glaberrimaおよびO.barthiiにおいては栽培イネを含む他種と異なり,翻訳終了前に終止コドンが出現する可能性が示唆された.そのため,より詳細に高精度マッピングを行った結果,従来Sh3であると思われていたORFはSh3ではないことが示唆された.形質転換イネが脱粒性を示した理由は不明であるが,その脱粒性程度が期待されるよりも低い傾向があることから,従来の候補ORFよりも短腕側のORFを新たな候補遺伝子として,塩基配列解析などを行っている.また,従来Sh3と思われていたORFも何らかの形で脱粒性に関与する可能性がある. (2)栽培イネにおける非脱粒化機構の解明 O.sativaとO.glaberrima(IRGC104038)の戻し交雑後代から得られたSh3およびSh9(従来は劣性の脱粒抑制遺伝子iSh3としていたが,脱粒性遺伝子Sh9と改称した)の両方が分離する集団の約4000個体の中からマッピングに有用な約280個体を選抜し,その後代を育成した.その結果,1系統のみSh3とSh9との間で組換えが起こった系統が観察され,両遺伝子が別の遺伝子座であることを確認した.また,(1)における従来のSh3候補ORFはSh9である可能性がある.
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