2002 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズ根粒形成を制御する体内移動シグナル物質の検索
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13460030
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大山 卓爾 新潟大学, 農学部, 教授 (30152268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 憲邦 新潟大学, 農学部, 助手 (50313507)
末吉 邦 新潟大学, 農学部, 助教授 (10216278)
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Keywords | ダイズ / 根粒 / 感染シグナル / オートレギュレーションシグナル / 硝酸 / サリチル酸 / GC-MS / 篩管液 |
Research Abstract |
ダイズは根粒の過剰着生を抑制することが知られており、オートレギュレーション機構と呼ばれている。感染後根粒形成が開始すると、何らかのシグナルが根から葉身へ移行し、それを感知した葉身からオートレギュレーションシグナルが篩管を通って地下部へ輸送され、新たな根粒の発達を阻害すると考えられている。通常のダイズよりも多数の根粒を着生する根粒超着生変異株は、オートレギュレーション機構に欠損があると考えられている。2002年末に、ミヤコグサの根粒超着生変異株において欠損遺伝子が同定され、細胞分裂を制御する膜結合受容体である可能性が示唆された。しかしながら、感染により根から伝えられるシグナル物質と葉身から地下部へ伝達されるシグナル物質およびその根粒形成阻害機作についてはいまだ不明である。 本年度の実験では、根粒菌接種後経時的に導管液と篩管液を採取し、各種成分濃度変化を測定するとともにGC-MSを用いて未知物質の検索を行った。得られた篩管液には、ショ糖とカリウムが多く含まれており篩管液と判断できたが、採取量が微量であったため植物ホルモンのIAAやABAは測定できなかった。GC-MSのリテンシヨンタイムごとの質量ピーク強度を、根粒菌感染後と感染前で比較し、根粒菌接種により増加する物質と減少する物質を検索中である。 根粒超着生変異株は硝酸耐性を持つことからオートレギュレーションと何らかの関連が示唆されている。ダイズの根粒の生長は硝酸により急速にかつ可逆的に阻害されることを報告した(Fujikake et al 2002)。 病原菌の感染を全身に伝達するシグナル物質として知られているサリチル酸を親株と根粒超着生変異株に投与すると、親株では根粒形成が著しく阻害されたが、根粒超着生変異株ではほとんど影響を与えなかったため、サリチル酸が根粒菌の感染シグナルである可能性が示唆された(Sato et al. 2002)。
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[Publications] Takashi Sato et al.: "Effect of exogenous salicylic acid supply on nodule formation of hypernodulating mutant and wild type of soybean."Soil Science and Plant Nutrition. 48. 855-863 (2002)
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[Publications] Hiroyuki Fujikake et al.: "Rapid and reversible nitrate inhibition of nodule growth and N2 fixation activity in soybean (Glycine max (L.) Merr.)"Soil Science and Plant Nutrition. 48. 211-217 (2002)
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[Publications] Hiroyuki Fujikake et al.: "Nitrogen Fixation-Global Perspectives"CABI Publishing. 553 (2002)