2001 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答性および温度感受性蛋白質核内輸送機構の解析
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13460035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 稔 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80191617)
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Keywords | レプトマイシン / 核外移行シグナル / 酸化ストレス / 温度感受性変異 / 転写制御 / 分裂酵母 / p53 |
Research Abstract |
我々の研究室で発見されたレプトマイシン(LMB)は、NESを介した核外移行の特異的阻害剤である。従ってレプトマイシンを用いることによって特定の蛋白質について簡便に核外輸送されるかどうかの判定が可能となった。そのため近年、レプトマイシンを用いて多くの制御蛋白質が核-細胞質間をシャトルしていることが明らかになりつつある。そこで酸化ストレス、熱ストレスなどによって特異的に核移行する蛋白質に焦点を当て、その特異的な核内輸送調節機構を明らかにすることを目的として研究を行なった。本年度は、特にp53温度感受性変異体(tsp53)が許容温度(32℃)では核に局在して機能するのに対し、制限温度(37℃)でに細胞質に局在し、転写活性代能を示さないメカニズムについて解析を行った。LMBを加えたところ、37℃でtsp53がゆっくりと核に移行した。また、tsp53の核移行シグナル(NLS)変異体は、構成的に細胞質局在を示したことからtsp53は核と細胞質をシャトルしていることが示唆された。細胞質において変異型p53は、Hsc70と結合し、逆に核移行輸送蛋白質importinとは結合していない。32℃ではHsc70と解離し、importinとの結合が回復する。LMB処理によって核蓄積したp53複合体にはHsc70が含まれていなかった。37℃ではみられなかったin vitroでのtsp53-importinの結合が細胞抽出液からHsc70をを除去した場合には回復した。以上の結果から、37℃では、Hsc70複合体がNLSをマスクすることによって核移行を阻害するが、32℃では解離するため速やかな移行を許すと考えられる。温度変化による蛋白質立体構造の変化をヒートショック蛋白質であるHsc70がモニターし、その結合によって結果的に細胞質にとどめておく機構は、はじめての例であると考えられ、興味深い。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Akakura, et al.: "A role for Hsc70 in regulating nucleo-cytoplasmic transport of a temperature-sensitive p53 (p53^<Val135>)"J. Biol. Chem.. 276. 14649-14657 (2001)
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[Publications] Forgues, et al.: "Interaction of the Hepatitis B virus X protein with the Crm1-dependent nuclear export pathway"J. Biol. Chem.. 276. 22797-22803 (2001)
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[Publications] Eleftheriou, et al.: "Nuclear export of human β-catenin can occur independent of CRM1 and APC"J. Biol. Chem.. 276. 25883-25888 (2001)
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[Publications] Hirano, et al.: "Direct demonstration of rapid degradation of nuclear sterol regulatory element-binding proteins by ubiquitin-proteasome pathway"J. Biol. Chem.. 276. 36431-36437 (2001)
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[Publications] Tomoda, et al.: "The cytoplasmic shuttling and subsequent degradation of p27^<Kip1> mediated by Jab1/CSN5 and the COP9 signalosome complex"J. Biol. Chem.. 277. 2302-2310 (2002)