2002 Fiscal Year Annual Research Report
オリザシスタチンの機能構造解析およびそれに基づいた新機能性食品の創製
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13460054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田之倉 優 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60136786)
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Keywords | オリザシスタチン / システインプロテアーゼ / プロテアーゼ阻害剤 / モネリン / 甘味タンパク質 / キメラタンパク質 / 結晶化 / 二量体化 |
Research Abstract |
オリザシスタチンはコメ(Oryza sativa)中に含まれ、パパインなどのシステインプロテアーゼ(CP)を特異的に阻害する。炊飯条件下でも活性を失わない耐熱性を持ち、酸やアルカリに対しても安定である。この蛋白質は、種子中での代謝を調節する因子であり、さらに、昆虫、細菌、ウイルスなどの外敵や感染源に存在するCPを外来性標的酵素として認識して、その活性を阻害することにより生体防御を担っているとも言われている。本研究では、第一にX線結晶学による構造解析や、蛋白質工学による部位特異的変異操作を行って、オリザシスタチンの構造と機能の相関を明らかにし、第二に、NMRによる構造解析から得られた情報をもとにオリザシスタチンのN末端近傍を類似構造をもつ甘味蛋白質モネリンのN末端へ置き換えたキメラ蛋白質の発現系を構築し、二つの蛋白質が本来もつ耐熱性と甘味活性を兼ね備えた新機能性蛋白質を創製することを目的として研究を行った。オリザシスタチンは大腸菌を宿主として発現させ、精製した。その過程で、組換オリザシスタチンに、これまで存在が知られていた単量体のほかに、二量体も存在することを発見し、さらに、この二量体が、炊飯後のコメにも含まれることを明らかにした。そこで、二量体と単量体の構造と機能を比較するために、二量体の結晶構造解析と活性測定を行った。結晶構造解析では、二量体の単結晶を得ることに成功し、現在、3.0ÅのX線回折データを得て、構造決定を進めている。また、活性測定では、二量体は、単量体の10-100分の1のCP阻害活性を有することが明らかになった。今後、単量体と二量体がCPを阻害する分子機構を明らかにし、比較する予定である。一方、蛋白質工学の手法により、オリザシスタチンとモネリンのキメラ蛋白質を発現させ、その甘味活性を測定したが、現在のところ甘味をもつキメラ蛋白質は得られていない。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kato, Y., Ito, M., Kawai, K., Nagata, K., Tanokura, M.: "Determinants of ligand specificity in groups I and IV WW domains as studied by surface plasmon resonance and model building"Journal of Biological Chemistry. 277・12. 10173-10177 (2002)
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[Publications] Sawano, Y., Muramatsu, T., Hatano, K., Nagata, K., Tanokura, M.: "Characterization of genomic sequence coding for bromelain inhibitors in pineapple and expression of its recombinant isoform"Journal of Biological Chemistry. 277・31. 28222-28227 (2002)
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[Publications] Iwasaki, W., Sasaki, H., Nakamura, A., Kohama, K., Tanokura, M.: "Metal-free and Ca^<2+>-bound structures of a multidomain EF-hand protein, CBP40, from the lower eukaryote, Physarum polycephalum"Structure. 11・1. 75-85 (2003)
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[Publications] Hatano, K., Kojima, M., Tanokura, M., Takahashi, K.: "Nuclear magnetic resonance studies on the pK_a values and interactions of ionizable groups in bromelain inhibitor VI from pineapple stem"Biological Chemistry. 384・1. 93-104 (2003)
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[Publications] Maeda, M., Takeuchi, K., Kojima, M., Tanokura, M., Kimura, K., Amemiya, Y., Kihara, H., Takahashi, K.: "Kinetic studies of unfolding process of aspergillopepsinn II by pH-jump methods"Biochemical and Biophysical Research communications. 301・3. 745-750 (2003)
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[Publications] Katayama, H., Nagata, K., Ohira, T., Yumoto, F., Tanokura, M., Nagasawa, H.: "The solution structure of molt-inhibiting hormone from the kuruma prawn Marsupenaeus japonicus"Journal of Biological Chemistry. (in press). (2003)
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[Publications] 田之倉優, 阿久津秀雄, 村松知成: "生化学キーノート(Hammes, B.D., Hooper, N.M. 著)"シュプリンガーフェアラーク東京. 464 (2002)
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[Publications] 田之倉優, 村松知成, 八木澤 仁: "分子生物学キーノート (Turner, P.C., McLennan, A.G., Bates, A.D., White, M.R.H. 著)"シュプリンガーフェアラーク東京. 398 (2002)