2001 Fiscal Year Annual Research Report
樹冠層における光合成量推定モデルの評価に関する研究
Project/Area Number |
13460067
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 教授 (60126026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 英之 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70312395)
千葉 幸弘 森林総合研究所, 生産技術部・物質生産研究室室長
向井 譲 静岡大学, 農学部, 助教授 (80283349)
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Keywords | ブナ / アカマツ / 光合成モデル / 生理生態モデル / 葉面積 / 海抜高 / 光合成応答 / 光阻害 |
Research Abstract |
樹冠層レベルの生理機能の評価:新規に購入予定の物品の入手が遅れたため(9月下旬)、同様の機能を持つ装置を用いて切断法によって行った。葉内炭酸ガス濃度(Ci)と光合成速度の関係は400-450ppmで飽和する。海抜高、陽葉、陰葉に差がなかった。光合成速度と飽差の関係は、標高、陽葉・陰葉別、季節によって影響度合いが異なる。生育初期は明瞭ではない。開葉1ヶ月を経ると飽差に対して光合成速度は顕著に低下する傾向がある。生育後期には影響は小さくなることがわかった。 林床レベルによる生理機能の評価:苗場山標高700mのブナ林床のgapとunderstoryに生育するブナを対象とした。模擬的なsunfleck(lightfleck)を再現し、sunfleckに対する光合成応答について調べた。background PPFDが同じ場合、lightfleckに対する光合成応答はunderstoryの方がgapよりすみやかであり、understoryの方がgapより低いbackground PPFDですみやかに応答する。自然条件下において、このbackground PPFDに相当する散乱光強度はunderstoryの方がgapより低く、sunfleckに対する光合成応答は最大光合成速度に対する相対値で、ほぼ同じであると考えられる。 光合成モデリング:モデルの構成要素として生態生理情報(SLA、相対照度、(光合成)蒸散速度、葉の空間分布など)を取り込んだモデルを考え、それぞれのコンパートメントを構成するパラメーターの取得を試みた。陽樹冠において、光や飽差が大きくなる日中に光合成速度は大幅に低下した。最大量子収率が低下せず気孔コンダクタンスが光合成とともに低下することから、光合成の低下の原因は光阻害ではなく飽差の増加による気孔閉鎖が原因であることがわかった。光合成速度の日変化を推定するためには、飽差が非常に重要であることがわかった。今後は継続していく気象データのパラメータ化およびそれらのチューニングの調整が重要となる。 樹冠層レベルにおける光環境変化の評価:樹冠内部における空間的な光分布と葉の分布をサンスキャンを用いて調べた。光の分布と光合成速度の関係が指数関係で表現できることが判った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Naramoto, M., Q.Han, Kakubari, Y.: "The influence of previous irradiance on photosynthetic induction in three species grown in the gap and understory of a Fagus crenata forest"photosynthetica. 39(4)(inpress). (2002)
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[Publications] Kakubari, Y.: "Possibility for increasing carbon dioxide sequestration taking advantage of scale merit in a semi-arid ecosystem"Green Age. 23. 1-8 (2001)
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[Publications] Y.Kakubari, et al.: "Altitudinal Changes of Photosynthesis and Transpiration in Naeba Mountains IBP Beech (Fagus crenata) Forests (Japan)"IAVS44th in Freising-Weihnestephan, Germany. 44th. 114 (2001)
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[Publications] 角張 嘉孝: "二酸化炭素固定プロジェクトの紹介"地球環境. 5 1/2. 17-26 (2001)
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[Publications] 千葉 幸弘: "植物への炭素蓄積のメカニズムと評価"森林科学. 33. 18-23 (2001)
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[Publications] Chiba, Y.: "Modeling seasonal change of forest canopy gross photosynthesis against air temperature and radiation"IUFRO "Canopy process" workshop, Oregon. 17 (2001)