2002 Fiscal Year Annual Research Report
ミズナラおよびコナラの集団の遺伝的構造解析にもとづく遺伝資源データバンクの構築
Project/Area Number |
13460069
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
原田 光 愛媛大学, 農学部, 教授 (40150396)
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Keywords | ミズナラ / コナラ / 遺伝子バンク / 葉緑体 / ハプロタイプ / AFLP |
Research Abstract |
日本に生育する落葉性のナラ類、ミズナラ、コナラ、ナラガシワ、カシワは温帯の落葉広葉樹林や雑木林の主要な構成樹種であり、遺伝子資源や、環境資源としての保全が重要視されている。本研究計画ではこれらの樹種の遺伝変異の蓄積量と、集団の遺伝構造を明らかにするとともに、遺伝子-データバンクを整備し、資料やデータの提供に便宜をはかろうとするものである.日本列島のほぼ全域にわたって上記4種ののサンプルを採集した。ミズナラ33集団501個体、コナラ22集団58個体、ナラガシワ3集団9個体、カシワ8集団35個体のサンブノレを採集した。これらからDNAを抽出し、AFLP法および葉緑.体DNA塩基配列の決定による遺伝的変異の解析をおこなった。 ミズナラ5集団約150個体をもちいてAFLP解析した結果、平均ヘテロ接合度は0.0834±0.0128となり、ブナ7集団で得られた、平均ヘテロ接合度0.1019±0.0088と比較すると、それと同程度かやや低い程度の変異があることがわかった。 上記4種について、葉緑体のコードおよび非コード領域を含む総計4500bPの配列を決定した。その結果、9種類(I〜IX)のハプロタイプが存在することがわかった。ハプロタイブIとIIは東北日本に分布し、ハプロタイプIII〜IXは南西日本に分布した。その境界はほぼ糸魚川-静岡構造線に一致していた。また同所的に生育する4樹種は同一のハプロタイプを共有していた。韓国で採集したサンプルは南西日本に分布するハプロタイプをもっていた。このことは南西日本のこれらの樹種は氷河期に朝鮮半島を経由して日本に分布を広げたことが示唆される。また、同所的に生育する種の間の交雑により葉緑体のイントログレッションが起こっていることが示された。 上記4種の落葉性ナラ類のDNA資料をAFLPおよび葉緑体の解析から得られた遺伝情報にもとづいて整理、保存した
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Okaura, T., Harada, K.: "Phylogeographical structure revealed by chloroplast DNA variation in Japanese beech(Fagus crenata Blume)"Heredity. 88. 322-329 (2002)
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[Publications] Kamiya, K., Harada, K., Clyde, M.M., Mohamed, A.L.: "Genetic variation of Trigonobalanus verticillata, a primitive species of Fagaceae, in Malaysia revealed by chloroplast sequences and AFLP markers"Genes Genet. Syst.. 77. 177-186 (2002)
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[Publications] Lopez, G.G., Kamiya, K., Harada, K.: "Phylogenetic relationships of Diploxylon pines (subgenus pines)based on plastid sequence date"Int. J. Plant Sci.. 163. 737-747 (2002)
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[Publications] Okaura, T., Harada, K., Ubukata, M.: "Genetic structure of Japanese oaks revealed by chloroplast DNA variation"In : Proc.Int.Nat.Workshop BIO-RIFOR.Seoul, Korea. Oct.8-12. 94-98 (2002)