2002 Fiscal Year Annual Research Report
水圏生物におけるD型リン脂質の分析法,分布および生理機能
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13460088
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
板橋 豊 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (60142709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤辺 智雄 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30241376)
安藤 靖浩 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30261340)
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Keywords | 非天然型リン脂質 / ホスファチジルグリセロール / ジアステレオマー / キラルHPLC / 環境適応 / 化学分類 / 海洋細菌 / 大腸菌 |
Research Abstract |
本研究ではD型(非天然型)リン脂質の高感度分析法の確立と海洋生物、特に海洋細菌におけるその分布と機能および生合成経路を解明することを目的とし,本年度は以下のことを明らかにした. (1)海洋細菌14種(Alteromonas6種,Pseudomonas4種,Moraxella4種)を培養し,菌体膜を構成する主要リン脂質であるホスファチジルグリセロール(PG)を分離して,その立体構造をキラルHPLC法で調べた.その結果,8種(Alteromonas1種,Pseudomonas4種,Moraxlla3種)に,D型(非天然型)配置のPGが総PG中1〜6%の割合で存在することを認めた. (2)細菌における非天然型PGの有無は,細菌の化学分類法の一つとして利用できる可能性のあることが,他の分類法との比較により明らかとなった. (3)大腸菌4株について,PGの立体構造に及ぼす培養温度の影響を検討した.その結果,温度の上昇につれて,非天然型PGの割合は徐々に増加し,50℃では全PG中15〜25%もの多くを占めたことから,大腸菌はPGの立体構造を変えて環境の変化に適応しているものと推測された. (4)大腸菌や海洋細菌のPG分子種を同定するために,HPLC/MS法を確立した.キャピラリースキマー電圧を0-300Vまで変化させて生成する負イオンスペクトルを詳細に検討した結果,顕著な分子量関連イオン[M-H]^-の他に,構成脂肪酸に由来する[M-RCO]^-と[RCO]^-イオンが得られた.したがって,これらのイオンを用いることにより,PG分子種を極めて容易に同定できることが明らかとなった.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] A.Fukushi, T.Imamura, H.Takahashi, Y.Itabashi, T.Suzuki: "Increase of free fatty acids in hepatopancreas of scallops kept in freezer"Fisheries Science. (in press). (2003)
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[Publications] 田尻智計, 板橋 豊: "高速液体クロマトグラフィー/質量分析法によるホスファチジルコリンの分子種分析"分析化学. 51・9. 667-674 (2002)
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[Publications] 鷹野浩之, 板橋 豊: "高速液体クロマトグラフィー/質量分析法による食用油中の1,3-ジアシルグリセロールの分子種分析"分析化学. 51・6. 437-442 (2002)
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[Publications] M.Terasaki, Y.Itabashi, T.Suzuki, K.Nishimura: "An improved method for determining the composition of free fatty acids in red tideflagellates by reversed-phase high performance liquid chromatography with fluorescence detection"Journal of the American Oil Chemists' Society. 79・12. 1181-1186 (2002)
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[Publications] Y.Takahashi, K.Itoh, M.Ishii, M.Suzuki, Y.Itabashi: "Induction of larval settlement and metamorphosis of the sea urchin Strongylocentrotus intermedius by glycoglycerolipids from the green alga Ulvella lens"Marine Biology. 140. 763-771 (2002)
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[Publications] M.Terasaki, Y.Itabashi: "Free fatty acid level and galactolipase activity in a red tide flagellate Chattonella marina (Raphidophyceae)"Journal of Oleo Science. 51・3. 213-218 (2002)
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[Publications] 板橋 豊 (共著): "改訂四版 油脂化学便覧 -脂質・界面活性剤-(日本油化学協会編)"丸善. 704 (2002)