Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 諭 九州大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70038313)
波多野 隆介 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40156344)
寺澤 実 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50003124)
山本 康貴 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90191452)
永木 正和 筑波大学, 大学院・農林学系, 教授 (90003144)
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Research Abstract |
北海道紋別郡興部町の自給飼料生産組織である有限会社「オコッペフィードサービス」(OFS)及びその構成農家(酪農家7戸,乳肉複合1戸),福岡県の肉牛農家及び酪農家,大分県の乳肉複合のメガファームである有限会社本川牧場の現地調査を行った。これらの調査によって,冬季における家畜ふん尿の凍結を留意しなければならない北海道の畜産とそのような必要がない九州の畜産間のふん尿処理に関する農家の意識,ふん尿処理施設,ふん尿処理方式の違いが明らかになった. 酪農経営のLCAを実施し,酪農経営が排出する環境負荷量の計測を行つた.LCAとは,製品のライフサイクルを通しての環境影響を調査する手法である.分析対象は,わが国で酪農環境汚染が顕著に現われていると思われる北海道酪農であり,LCAに必要な詳細データが入手可能で,かつ,調査協力が得られたOFS及びその構成農家を事例対象とした.分析対象年は,2001年である.分析の結果,ライフサイクルインベントリ分析では,CO2(415.6t), CH4(98.3t), N2O(4.4t), NOx(3.5t), SOx(0.4t), NH3(9.8t), T-N(10.5t), T-P(0.9t)が計測された.ライフサイクル影響評価では,地球温暖化(3,830.1t-CO2-eq),酸性化(17.9t-SO2-eq),富栄養化(11.0t-PO4-3-eq)が計測された.以上の分析結果から,酪農経営における環境負荷の主要な排出源は,地球温暖化では畜舎(家畜呼気)からのCH4とふん尿処理施設(家畜ふん尿)からのN2O,酸性化では畜舎とふん尿処理施設(家畜ふん尿)からのNH3,富栄養化ではふん尿処理施設と農地(家畜ふん尿)からのT-N, T-Pであることが明らかになった.また,「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」による家畜ふん尿の管理基準に従って,構成農家が新たに堆肥舎を建設した場合,富栄養化の原因となるT-N, T-Pの削減も示唆された.
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