2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウシの摂食調節神経ペプチドのソマトトロフ軸に対する作用機所の解明
Project/Area Number |
13460122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 高弘 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20111297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 康一 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80261494)
麻生 久 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50241625)
西森 克彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10164609)
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Keywords | ウシ下垂体前葉 / ガラニン / オレキシン / レプチン / ニューロペプタイドY / GH分泌 / GH軸 / 摂食調節 |
Research Abstract |
本研究では、ウシ下垂体前葉細胞の摂食神経ペプチド(ガラニン、オレキシン、レプチン、ニューロペプチドY)の発現とこれらペプチドのGHの合成と分泌に対する作用を明らかにし、GH軸と摂食調節との関係を解析する。本年度は牛下垂体前葉細胞でのオレキシンとオレキシンレセプターの発現を解析するとともに、昨年確立したGH細胞の培養システムを用いて、オレキシンのホルモン分泌に対する作用を検討した。得られた成績は以下の通りである。 1)二重免疫組織化学的染色により、ウシ下垂体前葉のプロラクチン産生細胞(Mommotrophs)にオレキシンが存在することが証明された。また、視床下部の神経核細胞でオレキシンの発現が免疫組織学ならびにin situ gybridization法で証明された。 2)RT-PCR法で下垂体前葉と視床下部でともに、オレキシンmRNAの発現が確認された。PCR産物のクローニングを行い、オレキシンAとBの部分塩基配列を決定した。ウシのオレキシンAのアミノ酸配列は多種と同様であり、オレキシンBはヒト、ラットとそれぞれアミノ酸1残基の違いがあった。 3)オレキシンレセプター1(OXR1)のmRNAの発現が前葉細胞と視床下部で認められた。前葉ではMommotrophsと一部の成長ホルモン産生細胞(Somatotrophs)が抗OXR1抗体で染色された。このことから、オレキシンがオートクライン的に作用する可能性が強く示唆された。 4)ウシ下垂体前葉細胞の培養系で、オレキシンAのGHとPRLの分泌作用を解析した。オレキシンAの単独添加でGHとPRLの分泌には影響が認めたれなかった。また、GHRHおよびTSHRHの存在下のこれらホルモン分泌亢進でも、オレキシンA添加の影響は認めたれなかった。このことからウシ下垂体前葉において、オレキシンAは他の因子と協調して前葉ホルモンを調節、または前葉細胞の分化、成熟に関与する可能性が示された。
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[Publications] M.Matsuzaki, S.Sato, K.watanabe, N.Shibata, E.Tsuneishi, T.Yamaguchi: "Immunohistochemical detection of pituitary transcription factor 1 in paraffin sections of bovine adenohypophysis after wet heat-induced antigen retrieval"Anim. Sci. J.. 74. 131-137 (2003)
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[Publications] T.Sato, S.Owada, T.Yamaguchi: "Testosterone modulates galanin production in corticotrophs of rats"Cell Tissue Res.. (発表予定). (2003)
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[Publications] K.Watanabe, T.Sato, S.Owada, T.Yamaguchi: "Orexin expression in bovine mammotrophs"J. Histochem. Cytochem.. (発表予定). (2003)