2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の形態形成におけるFgf,Wnt,Shhシグナルの役割とその相互作用
Project/Area Number |
13470003
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 岳 京都大学, 医学研究科, 助手 (10324617)
滝川 俊也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263095)
石橋 誠 京都大学, 医学研究科, 講師 (30232341)
|
Keywords | Sonic hedgehog(Shh) / Fibroblast growth factor(Fgf) / 神経分化 / 間脳 / 中脳 / 全前脳胞症 / 肺原基 / 反応-拡散モデル |
Research Abstract |
1.脳の分化におけるSonic hedgehog (Shh)遺伝子の役割 (a)Shh遺伝子は、脳と脊髄の全長において、腹側の神経細胞の分化を誘導する重要な分子である。一方、背側の分化は一般にShh非依存性と考えられている。我々はShhノックアウトマウスの胎児を解析し、間脳と中脳におけるcyclin D1の発現と背側神経管の分化にShhが必要であることを明らかにした。この結果から、間脳及び中脳の背側細胞の増殖と生存にShh依存性のシグナル伝達が関与していると考えられた。また、間脳ではFgf15がShh依存性に発現することから、Fgf15が背側の神経前駆細胞の増殖と分化に関与していることが明らかになった。 (b)全前脳胞症(holoprosencephaly)は前脳の左右の分割が障害されて起こる重篤な脳奇形である。Shh遺伝子の異常はしばしばこの異常を伴うが、その他にNodal, Smad2,Hnf3β,ActRIIA等の変異によっても類似の異常が起こることから、全前脳胞症は遺伝的にheterogeneousであると考えられた。我々は、150例以上の全前脳胞症ヒト胎児の疫学的解析によってこれを確認した。また、全前脳胞症の発症に関与する遺伝子異常と環境要因の関連を整理し、それを総説としてまとめた。 2.肺原基の分枝におけるFgfの関与 肺の原基である肺芽は規則正しい分枝を繰り返して気管支を形づくっていく。我々はマウスの肺原基を間葉のない条件下で培養し、隣接する肺芽の枝どうしがFGF1を消費することによって互いの発育を抑制することを見出した。一方、BMP4はこの阻害効果を軽減しなかった。この結果に基づき、FGFの不足が側方抑制の効果をもつとする反応拡散モデルを作り、FGFの欠乏が肺原基の初期分化において重要な役割を果たすことを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Ishibashi M, et al.: "A sonic hedgehog-dependent signaling relay regulates growth of diencephalic and mesencephalic primordia in the early mouse embryo"Development. 129. 4807-4819 (2002)
-
[Publications] Cohen MM Jr., Shiota K.: "Teratogenesis of holoprosencephaly"American Journal of Medical Genetics. 109. 1-15 (2002)
-
[Publications] Miura T, Shiota K.: "Depletion of FGF acts as a lateral inhibitory factor in lung branching morphogenesis in vitro"Mechanisms of Development. 116. 29-38 (2002)
-
[Publications] Saitsu H, et al.: "Spatial and temporal expression of folate-binding protein 1 (Fbp1) is closely associated with anterior neural tube closure in mice"Developmental Dynamics. 226. 112-117 (2003)
-
[Publications] Ikenouchi J, et al.: "Embryonic hydromyelia : Cystic dilatation of the lumbosacral neural tube in human embryos"Acta Neuropathologica. 103. 248-254 (2002)
-
[Publications] Kimura S, et al.: "Comparative investigations of human and rat dermatoglyphics : Palmar, plantar and digital pads, and flexion creases"Anatomical Science Inbternational. 77. 34-46 (2002)