2003 Fiscal Year Annual Research Report
スカベンジャー受容体ファミリーの生体内発現と病態における役割
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13470052
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
竹屋 元裕 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (90155052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海北 幸一 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (30346978)
寺崎 泰弘 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (50332870)
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Keywords | スカベンジャー受容体ファミリー / SR-AI,II (CD204) / MARCO受容体 / LOX-1 / 高脂血症 / 胎盤 / 免疫組織化学 / 生体内分布 |
Research Abstract |
私どもは、ヒトクラスAスカベンジャー受容体に特異的な抗体を作製し、第7回国際CD会議でその有用性が評価され、本受容体に新しいCD番号であるCD204が付与された。抗CD204抗体は適切な抗原賦活処理を行うことで、パラフィン切片に応用可能であり、ヒト正常組織の検討では、CD204は、全身に分布する多くの組織マクロファージ(Mφ)に構成的に発現がみられ、種々の炎症性局所への浸潤マクロファージにも強い陽性所見が得られた。このことからCD204はMφにおける外来異物認識に重要な役割を果たすものと考えられ、パターン認識受容体として、脂質代謝のみならず自然免疫においても重要な役割を果たすものと考えられた。一方、組織学的にランゲルハンス細胞やinterdigitating cellなどの樹状細胞は陰性であったが、培養単球をGM-CSFおよびIL-4の共存下で樹状細胞への分化を誘導すると、未熟樹状細胞で約10%、成熟樹状細胞で約10〜15%にCD204の陽性所見が得られ、樹状細胞の分化段階によってはCD204が樹状細胞に誘導されることが確認された。このことは、CD204が樹状細胞における抗原提示機能に関与する可能性を示唆し、樹状細胞におけるCD204の役割解明が今後の課題となった。同じくクラスAに属するMARCO受容体(Macrophage Receptor with Collagenous Structure)は、LPS刺激によって全身のマクロファージに発現が誘導され感染防御への関与が明らかにされているが、私どもは高脂血症によって惹起される非アルコール性脂肪肝炎において肝クッパー細胞に本受容体が誘導されることを見いだした。この発現誘導には、高脂血症状態における門脈血中のエンドトキシン濃度上昇が関与する可能性が示唆された。内皮に発現されるクラスE受容体であるLOX-1(Lectin-like oxidized LDL receptor-1)については、LOX-1とApoE蛋白の二重欠損マウスを用いて動脈硬化病巣形成の程度を検索したが、コントロール群と比較して有意,な動脈硬化抑制は観察されず、粥状硬化形成に関しては、LOX-1は重要な役割を果たしていないと思われた。一方、LOX-1は、マウスおよびヒト胎盤で最も発現が強く、スカベンジャー機能以外の機能を果たしている可能性が示唆された。LOX-1欠損マウスと野生型の胎盤の比較では、両者に明らかな形態的相違は見られなかったが、免疫組織化学およびin situ hybridizationによる検討から、マウス胎盤ではグリコーゲン細胞に、ヒト胎盤ではcytotrophoblastに各々陽性像が認められ、今後、このような発現様式が胎盤機能にどの様な関与を示すのかについて更に検討したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takahashi K, Takeya M, Sakashita N: "Multifunctional roles of macrophages in the development and progression of atherosclerosis in humans and experimental animals"Med Electron Microsc. 35・4. 179-203 (2002)
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[Publications] Jinnouchi K, Terasaki Y, Fujiyama S, Tomita K, Kuziel WA, Maeda N, Takahashi K, Takeya M: "Impaired hepatic granuloma formation in mice deficient in C-C chemokine receptor 2"J Pathol. 200・3. 406-416 (2003)
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[Publications] Sakashita N, Miyazaki A, Chang CCY, Chang TY, Kiyota E, Satoh M, Komohara Y, Morganelli P, Horiuchi S, Takeya M.: "Acyl-coenzyme A : cholesterol acyltransferase 2 (ACATS2) is induced in monocyte-derived macrophages : in vivo and in vitro studies"Lab Invest. 83・11. 1569-1581 (2003)
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[Publications] Oike Y, Yasunaga K, Ito Y, Matsumoto S, Maekawa H, Morisada T, Arai F, Nakagata N, Takeya M, Masuho Y, Suda T: "Angiopoietin-related growth factor (AGF) promotes epidermal proliferation remodeling, a regeneration"Proc Natl Acad Sci USA. 100・16. 9494-9499 (2003)
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[Publications] Yamada M, Kim S, Egashira K, Takeya M, Ikeda T, Mimura O, Iwao H: "Molecular Mechanism and Role of Endothelial Monocyte Chemoattractant Protein-1 Induction by Vascular Endothelial Growth Factor"Arterioscler Thromb Vasc Biol. 23・11. 1996-2001 (2003)
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[Publications] 竹屋 元裕: "マクロファージスカベンジャー受容体の生体内における役割"日本産科婦人科栄養・代謝研究会誌. 9・1. 1-3 (2003)