2001 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアβ酸化異常症日本人患者の病態・病因の解明
Project/Area Number |
13470165
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
山口 清次 島根医科大学, 医学部, 教授 (60144044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正彦 島根医科大学, 医学部, 講師 (00263533)
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Keywords | 先天代謝異常 / ミトコンドリアβ酸化異常症 / 病因解析 / 遺伝子解析 / 乳児突然死症候群 / ライ症候群 |
Research Abstract |
3年間の研究プロジェクトの初年度である.β酸化異常症は安定期には正常であるにもかかわらず、感染や激しい運動などを契機にして急激に発症し、小児期に原因不明のまま死亡したり障害を残すことが多いため、社会問題化している.日本ではまだ関心がうすく、診断できる施設が限られておりまた患者数も少ない.本研究の目的は、日本人患者の実態を調査して、発症形態、病態、病因を明らかにし、外国と頻度や遺伝的背景を比較し、日本において迅速な診断体制を確立することである.今年度の研究成果は以下の通りである. 1)日本人β酸化異常症患者の実態調査:1980年代からβ酸化異常症が世界的に注目されはじめた.そこで1985年〜2000年の間に診断された本症患者をアンケートなどで調査した.64例の患者を見い出した.頻度はCPT2欠損症が最も多く、ついで極長鎖アシルーCoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症、グルタル酸尿症2型の順であった,欧米で多いMCAD欠損症は日本ではほとんどない.引き続き詳細なデータを収集、検討中である. 2)グルタル酸尿症2型の遺伝子解析:本症は3つのタンパク(ETFα、ETFβ、ETFDH)のいずれかの欠損によって引き起こされる.これまで日本人の患者は12例知られているが、病因が同定されたのは我々の報告したETFβ欠損症の2例のみであった.今年度、本研究によって日本人で初めてのETFα欠損症2例を同定し、遺伝子レベルで明らかにした.さらに他の症例の検索を進めたい. 3)VLCAD欠損症の病因解析:VLCAD欠損症の日本人症例は2例報告されていたが、本研究によってさらに3例の病因解析を行なった.計5症例を比較検討したところ、欧米からの報告と同様、遺伝子変異は多様であることと遺伝子型と臨床型に一定の相関がみられることが推察された.今年度さらに多くの患者を同定しつつあるので病因を明らかにしたい.
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Research Products
(15 results)
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[Publications] Fukao T: "Myopathic form of very-long chain acyl-CoA dehydrogenase deficiency : Evidence for temperature-sensitive mild mutations in both in both mutant alleles in a Japanese girl"Pediatric Research. 49. 227-231 (2001)
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[Publications] Yamaguchi S: "Urinary organic acids in peroxisomal disorders : A simple screening method"Journal of Chromatography B. 758. 81-86 (2001)
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[Publications] Fu XW: "GC/MS Screening for organic acidemias using dried urine filter paper : Determination of α-ketoacids"Journal of Chromatography B. 758. 87-94 (2001)
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[Publications] Obata K: "human biotin-containing subunit of 3-methylcrotonyl-CoA carboxylase gene (MCCA):cDNA sequence, genomic organization, localization to chromosomal band 3q27, and expression"Genomics. 72. 145-152 (2001)
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[Publications] Kimura M: "A sensitive and simplified method to analyze free fatty acids in children with mitochondrial beta oxidation disorders using gas chromatography/mass spectrometry and dried blood spots"Clinica Chimica Acta. 316. 117-121 (2002)
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[Publications] 山口清次: "ミトコンドリアβ酸化異常症の病態と臨床的特長"小児科. 42. 70-82 (2001)
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[Publications] 山口清次: "ミトコンドリアアセトアセチル-CoAチオラーゼ欠損症(βケトチオラーゼ欠損症)"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ 先天代謝異常症候群辞典. 33. 87-88 (2001)
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[Publications] 山口清次: "グルタル酸尿症1型"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ 先天代謝異常症候群辞典. 33. 106-107 (2001)
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[Publications] 山口清次: "グルタル酸尿症2型"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ 先天代謝異常症候群辞典. 33. 108-110 (2001)
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[Publications] 山口清次: "ミトコンドリアアシル-CoA脱水素酵素欠損症(極長鎖、長鎖、中鎖、短鎖)"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ 先天代謝異常症候群辞典. 33. 144-147 (2001)
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[Publications] 山口清次: "サクシニル-CoA:3-ケト酸CoA トランスフェラーゼ欠損症"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ 先天代謝異常症候群辞典. 34. 701-702 (2001)
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[Publications] 山口清次: "ミトコンドリアβ酸化異常症(概論)"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ 骨格筋症候群. 36. 60-64 (2001)
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[Publications] 山口清次: "中鎖3-ケトアシル-CoAチオラーゼ欠損症"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ 骨格筋症候群. 36. 80-82 (2001)
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[Publications] 山口清次: "短鎖3-ケトアシル-CoAチオラーゼ欠損症(βケトチオラーゼ欠損症)"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ 骨格筋症候群. 36. 83-85 (2001)
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[Publications] 山口清次: "グルタル酸尿症2型"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ 骨格筋症候群. 36. 86-89 (2001)