2002 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアβ酸化異常症日本人患者の病態・病因の解明
Project/Area Number |
13470165
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
山口 清次 島根医科大学, 医学部, 教授 (60144044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正彦 島根医科大学, 医学部, 講師 (00263533)
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Keywords | 先天代謝異常 / β酸化異常症 / 有機酸代謝異常症 / 質量分析 / 遺伝子解析 / マススクリーニング / VLCAD欠損症 / グルタル酸血症2型 |
Research Abstract |
平成14年度には以下の研究成果を得た. 1.GC/MSによるβ酸化異常症スクリーニング法の開発:血液ろ紙または微量血清を用いて中鎖アシル-CoA脱水素酵素(MCAD)欠損症、極長鎖アシル-CoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症およびグルタル酸血症2型(GA2)のGC/MSによる簡便な診断法を確立した. 2.日本人β酸化異常症患者の調査:最近17年間(1985〜2001)に見い出された日本人患者を調査した.CPT2欠損症が17例と最も多く、次いでGA2(14例)、VLCAD欠損症(12例)であった.しかし2002年度にこれまで原因不明のミオパチー患者の中から数例が診断され、日本人ではVLCAD欠損症が最も多い可能性が出てきた.欧米ではMCAD欠損症が最も多く、次いでCPT2欠損症と長鎖3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素欠損症が多いのと対照的であった. 3.β酸化異常症の臨床的特徴:島根医科大学で診断した有機酸代謝異常症患者約170例と比較したところ、β酸化異常症は知能予後が良い傾向がある、乳児期に急性脳症様症状で発症する例が多い、成人発症例が少なくない、思春期以降の発症者では骨格筋症状が前面に出ることがわかった.このデータはβ酸化異常症を新生児期に発症前にスクリーニングする意義を強く示唆する. 4.VLCAD欠損症患者の解析:昨年まで3例の日本人患者を分子レベルで病因を解明していたが、今年度2例について明らかにし、さらに最近発見した14例についても解析中である.欧米など外国の遺伝背景との違いを明らかにしてゆきたい.また発現実験によってVLCADタンパクには温度感受性のあることを示した. 5.グルタル酸血症2型の遺伝子解析:日本人として初めてのETFαサブユニット欠損によるGA2を2例同定し、遺伝子異常を明らかにした.さらにこの他数例のGA2患者の検索を続行中である.
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Kimura M: "A sensitive and simplified method to analyze free fatty acids in children with mitochondrial beta oxidation disorders using gas chromatography/mass spectrometry and dried blood spots"Clin Chim Acta. 316. 117-121 (2002)
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[Publications] Takusa Y: "Identification and Characterization of Temperature-Sensitive Mild Mutations in Three Japanese Patients with Nonsevere Forms of Very-Long-Chain Acyl-CoA Dehydrogenase Deficiency"Mol Genet Met. 75. 227-234 (2002)
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[Publications] Shigematsu Y: "Newborn mass screening and selective screening using electrospray tendem mas spectrometry in Japan"J Chromat B. 776. 39-48 (2002)
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[Publications] Suzuki Y: "Peroxisomal acyl CoA oxidase deficiency"J Pediatr. 140. 128-130 (2002)
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[Publications] Tamaoki Y: "A survey of Japanese patients with mitochondrial fatty acid b-oxidation and related disorders as detected from 1985 to 2000"Brain & Development. 24. 675-680 (2002)
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[Publications] 山口清次: "低血糖きたす新しい疾患概念:高インスリン/高アンモニア血症症候群"臨床と研究. 79(7). 1221-1226 (2002)
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[Publications] 山口清次: "ミトコンドリアβ酸化系酵素の概要"日本臨床増刊4、ミトコンドリアとミトコンドリア病. 60. 88-93 (2002)
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[Publications] 木村正彦: "カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ欠損症"日本臨床増刊4・ミトコンドリアとミトコンドリア病. 60. 714-716 (2002)
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[Publications] 長谷川有紀: "極長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症"日本臨床増刊4、ミトコンドリアとミトコンドリア病. 60. 717-721 (2002)
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[Publications] 田草雄一: "中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症"日本臨床増刊4、ミトコンドリアとミトコンドリア病. 60. 722-725 (2002)
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[Publications] 瀬島 斉: "短鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症"日本臨床増刊4、ミトコンドリアとミトコンドリア病. 60. 726-729 (2002)
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[Publications] 内山 温: "長鎖3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症"日本臨床増刊4、ミトコンドリアとミトコンドリア病. 60. 730-733 (2002)
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[Publications] 木村正彦: "短鎖3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症"日本臨床増刊4、ミトコンドリアとミトコンドリア病. 60. 734-737 (2002)
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[Publications] 深尾敏幸: "3-ケトアシル-CoAチオラーゼ欠損症"日本臨床増刊4、ミトコンドリアとミトコンドリア病. 60. 738-742 (2002)
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[Publications] 田草雄一: "グルタル酸尿症2型"日本臨床増刊4、ミトコンドリアとミトコンドリア病. 60. 743-746 (2002)
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[Publications] 内山 温: "三頭酵素欠損症"日本臨床増刊4、ミトコンドリアとミトコンドリア病. 60. 747-750 (2002)