2002 Fiscal Year Annual Research Report
アンチトロンビン凝固制御系遺伝子改変マウスを用いた血栓症発症メカニズムの解明
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13470203
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高松 純樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (80221365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 晃士 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員
松下 正 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (30314008)
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
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Keywords | Antithrombin / Sindecan / Thrombosis / recombination / Knock owt / LPS |
Research Abstract |
1)研究の目的 本研究ではヒト疾患において再現されていない凝固線溶遺伝子の機能を明らかにするため、遺伝子改変マウスを用いた解析を行う。Antithrombin欠失マウスを作製、さらにRyudocan欠失マウスとのとのダブル欠失マウスを作製することにより、(1)血栓症発症のタイミング・部位・重症度における差異、(2)向血栓刺激に対する反応性の相違、(3)血栓症病態発症条件の特定、(4)個体発生、炎症・臓器障害におけるHSPG-AT系の役割について明らかにする 2凝固・線溶因子の活動は微妙なバランスの上に成り立っており、血栓症リスクの高い個体においては他の因子の遺伝子発現調節に乱れが生じることが考えられる。1で生じた表現型が他の凝固・線溶因子遺伝子の発現調節にどの様な影響を与えているか、主要臓器における凝固・線溶遺伝子mRNAの量とその局在を通じて、生体が個体レベルで易血栓性をどの様に調節しようとするのか蛋白レベルでの解析も加えながら検討を行う。 2)平成14年度 Antithrombin欠失マウスの表現型解析とAntithrombin/Ryudocanダブル欠失マウスの作製。初年度に引き続きAntithrombin欠失マウスの表現型解析を行ったところ、Antithrombin欠失マウスは胎生14.5日以降死亡することが明らかとなった。直接の死亡原因は、心筋、肝臓に発生したフィブリン血栓をベースにした出血で、特に心筋で高度であり、死因と直接関連すると思われた。従ってマウスにおいてはアンチトロンビンはその発生には直接必須でないものの、多発する血栓により死亡したものと考えられた。Antithrombin欠失マウスとすでに作製済みのRyudocan欠失マウスを交配させ、Antithrombin(-/+)Ryudocan(-/-):マウスを同定した。すでに我々が作成したRyudocan(-/-)マウスは自然に血栓症を発症することはないが、Antithrombin(-/+)マウスに関しては、Antithrombinをヘテロに欠乏するヒトがしばしば血栓症を発症することからリスクとしてより高度であると予想できる。一方Antithrombin(-/+)マウスの表現型を解析、LPS刺激により血栓を発症する頻度がより高いことが明らかとなった(Blood,2002)現在のところAntithrombin(-/+)Ryudocan(-/-):マウスにおいて自然発症血栓症は確認されておらず、ただし死亡率が有意に高かったためLPS、各種サイトカインに加えて拘束ストレス負荷(2-20時間)を行い、主要組織における血栓形成と血液凝固線溶因子の遺伝子発現について血栓症病態の発症条件を検討したところ、Antithrombin(-/+)Ryudocan(-/-):マウスにおいては血栓発症が有意に亢進していることが明らかとなった。これらの結果については、定量化、有意差検定を行っており成果は近く投稿される予定である。
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