2001 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の発生・自己複製に関わる分子クローニングとその機能解析
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13470207
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高倉 伸幸 金沢大学, がん研究所, 教授 (80291954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 将也 金沢大学, がん研究所, 助手 (20334766)
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Keywords | 造血幹細胞 / 自己複製 / TIE2 / アンジオポチエン |
Research Abstract |
胎仔期早期の造血幹細胞表面にはTIE2レセプター型チロシンキナーゼが発現し、幹細胞の分化に伴い本受容体は消失することが判明した。TIE2を発現する造血幹細胞は自らその結合因子であるアンジオポェチン-1を分泌しており、さらに血管内皮細胞にもTIE2受容体が発現することから、本造血幹細胞の分泌するアンジオポエチン-1につき、パラクライン、オートクラインによる造血機構の解析を行なった。まずパラクライン機構として、造血幹細胞は無血管野領域に血管が形成される前に血管内皮細胞より先に局所に移動し、アンジオポエチン-1を分泌して、血管内皮細胞の遊走を誘導して血管網の形成を局所に誘導する機能を有することが判明した。また骨髄では造血幹細胞は血管内皮細胞の基底膜側に接着して存在することが解明され、造血支持能のあるストロマ細胞とTIE2陽性の造血幹細胞との共培養にて造血幹細胞はストロマ細胞のマトリックスの豊富に存在するストロマ細胞と培養皿の間に潜り込み未分化性を維持することが判明した。これら個体内、試験管内における造血幹細胞の局在は、アンジオポエチン-1刺激によりTIE2陽性の造血幹細胞はフィブロネクチン・コラーゲンといった細胞外マトリックスヘの接着が、インテグリンの活性変化によって誘導されるためであることが判明した。さらに個体内でTIE2機能活性の上昇による幹細胞変化を解析するため、TIE2のチロシンキナーゼ領域が恒常的にリン酸化される変異TIE2cDNAを作成し、TIE2プロモーター制御下にこの恒常的リン酸化TIE2を発現するトランスジェニックマウスを作製した現在解析は進行中であるが、胎仔肝における造血幹細胞の分化抑制、さらに造血幹細胞の局在領域の拡大など、造血幹細胞上のTIE2活性の増強により造血幹細胞の未分化性や自己複製が強く誘導されることが判明しつつある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Zhang, X.Q.: "Stromal cells expressing ephrin-B2 promote the growth and sprouting of ephrin-B2(+) endothelial cells"Blood. 98. 1028-1037 (2001)
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[Publications] Yamada, Y.: "Exogenous clustered neuropilin 1 enhances vasculogenesis and angiogenesis"Blood. 97. 1671-1678 (2001)
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[Publications] Sano, H.: "Functional blockade of platelet-derived growth factor receptor-beta but not of receptor-alphaprevenls vascular smooth muscle cell accumulation in fibrous cap lesions in apolipoprotein E-deficient mice"Circulation. 103. 2955-2960 (2001)
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[Publications] Koga, K.: "Expression of angiopoietin-2 in human glioma cells and its role for angiogenesis"Cancer Res.. 61. 6248-6254 (2001)
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[Publications] Suda, T.: "Role of hematopoietic stem cells in angiogenesis"Int. J. Hematol. 74. 266-271 (2001)