2002 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血幹細胞移植、リンパ球アポトーシスによるサル腎移植モデルでの免疫寛容の誘導
Project/Area Number |
13470245
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
君川 正昭 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70204964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 道郎 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00246547)
佐藤 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80231348)
寺岡 慧 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20147383)
川瀬 友則 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00307555)
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Keywords | 臓器移植 / 免疫寛容 / 末梢血幹細胞 / 腎移植 / leukapheresis / アカゲザル |
Research Abstract |
移植手術後免疫抑制剤の長期連用を必要としないドナー特異的免疫寛容の誘導は臓器移植の究極の目標である。この実験の目的はレシピエントに対して薬剤投与のみによる前処置を行い、予めアフェレーシスによりドナーから採取した末梢血幹細胞を腎移植と同時にレシピエントに注入して免疫寛容を誘導しようとするものである。 ドナーとレシピエントは組織適合性フルミスマッチの組み合わせを選択して実験を行った。平成13年度に計5組の腎移植を実施したが、うち1例は手術中のトラブルにより術後5日目に死亡し、残りの4例も手術後27,28,37,48日目に死亡した。4例とも病理検査で細胞性および液性拒絶反応と診断された。平成14年度はフルプロトコールおよびコントロールスタディーを実施した。フルプロトコールの症例は一時期血清クレアチニンが上昇し、腎生検でも拒絶反応の所見であったが、その後移植腎機能は安定し現在も生存中である。これまで実施してきた実験と併せ現在までのところ4例が免疫抑制剤の連用なしに長期生存している。昨年度拒絶反応により移植腎廃絶となった4症例と比較検討したが、注入細胞数、骨髄抑制の程度等両者に差異は認められず、現在までのところ成功例と失敗例の違いは判明していない。当初はドナーの末梢血幹細胞を輸注することから、mixed chimerismの誘導により免疫寛容の獲得を目指していたが、長期生存例でも急性拒絶反応例でも移植後ごく短期間しかmixed chimerismが確認されておらず、これまで考えられていたmixed chimerismの誘導、維持が免疫寛容獲得、維持に重要であるとの仮説とは異なっていた。 コントロールスタディーとして1)サイクロフォスファミドなし、2)FTY720なしの実験を行った。本実験では前処置としてサイクロフォスファミド、FTY720をレシピエントに投与しているが、果たしてこれらの薬剤が絶対必要なのか検証するためこれら薬剤抜きの実験を実施した。現在のところ両者ともまだ存命中で結論を出すには至っていない。
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