2002 Fiscal Year Annual Research Report
常温心拍動下における全弓部置換術のための補助手段確立に関する研究
Project/Area Number |
13470277
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
古謝 景春 琉球大学, 医学部, 教授 (10101479)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上江洲 徹 琉球大学, 医学部, 助手 (70305192)
宮城 和史 琉球大学, 医学部, 助手 (00229808)
国吉 幸男 琉球大学, 医学部, 助教授 (50153317)
新垣 勝也 琉球大学, 医学部附属病院, 助手 (90325853)
|
Keywords | 弓部置換手術 / 常温心拍動下 / 冠灌流 |
Research Abstract |
弓部置換手術ではなお,超低体温循環停止法を要し,術後の心肺機能不全・脳障害・血液凝固障害など合併症が多く,未だ満足すべき結果を得ていない.全弓部大動脈置換手術時の補助手段としての常温心拍動下体外循環法が確立すれば,重症例である弓部置換手術の成績は著しく向上することが期待される.これに対し,我々は一部臨床例において常温心拍動下脳分離体外循環とを併用し,その有用性を確認しているが,その際の心拍動を維持するための至適条件はいまだ明確ではない.本研究では上行大動脈遮断下・常温心拍動時における良好な心保護(non working beating heart)を得るための至適環境を解明する事を目的とした. [対象及び方法]体重9〜16kgのビーグル犬を用い,全身麻酔下に予め心電図,左房圧,左心室圧,上行大動脈基部圧,大腿動脈圧及び右冠動脈流量のモニターを行う.大腿動脈送血,大腿静脈からのlong cannulaによる右房脱血でF-Fバイパスを開始.安定した循環動態を得た後に,上行大動脈を遮断し,120分間同条件を維持した.その後上行大動脈遮断を解除し,人工心肺からの離脱時点までのモニターを続けた. 大動脈基部からの常温冠灌流を行った冠灌流群(2ml/min/kg)と非冠灌流群とに分け,上行大動脈遮断下・心拍動時及び人工心肺使用の前後での循環動態の変化を観察した. [結果]1)冠灌流群(6例)及び非冠灌流群(6例)の全例で,120分の上行大動脈遮断下心拍動環境を得ることが出来た.2)上行大動脈遮断解除後も循環動態は安定し人工心肺からの離脱も全例遮断解除後10分以内に可能で,極めて良好であった.3)左房圧の変化:CP群では平均左房圧は2〜7mmHgと良好に維持されたが,non CP群では遮断開始後80分から上昇し,90分では15mmHgと高値を示した.(P<0.001) [結論]これらの結果より常温心拍動下における全弓部大動脈置換手術時の補助手段としての,心拍動下上行大動脈遮断の可能であった.併せて冠還流の併用が循環動態維持の為に重要と考えられた.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 古謝景春: "臓器保護からみた胸腹部大動脈瘤手術症例の検討"日本血管外科学会雑誌. 11. 69-78 (2002)
-
[Publications] Kuniyoshi, Y: "Cooling Device for Bradycardia Based on Peltier Element for Accurate Anastomosis of Off-Pump Coronary Artery Bypass Grafting"Artificial Organs. 26(10). 827-832 (2002)