2001 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨組織特異的DNAチップの作製と、修復・再生に向けた新たなチャレンジ
Project/Area Number |
13470305
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
篠村 多摩之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70206118)
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Keywords | 軟骨 / 再生 / 遺伝子発現 / 遺伝子トラップ |
Research Abstract |
本研究では、軟骨組織で特異的に発現している遺伝子をできるだけ多く取り出し、その上でそれぞれの遺伝子の発現状態を網羅的に把握するためのDNAチップの作製を目指して研究を進めている。 まず既知遺伝子については、市販のDNAチップを用い12,000種類の遺伝子を対象として、ヒト骨髄由来の間葉系幹細胞が骨誘導因子(BMP)によって軟骨細胞に分化する過程で新たに活性化されるものについて解析を進めた。その結果、多数の遺伝子が大なり小なり活性化されることが明らかになった。そこで活性化率の高い100種類の遺伝子を選び、まずその中に含まれる15種類の転写因子について、その発現が本当に軟骨分化特異的であるかどうか更に詳しく解析を進めている。その為の手段として、解析系をマウステラトカルシノーマ由来の未分化幹細胞(ATDC5細胞)に切り替え、この細胞がインシュリンに応答して軟骨細胞に分化する過程でも、それぞれの転写因子が同じように活性化されるかどうか調べている。 一方、軟骨組織特異的な未知遺伝子については、独自に開発してきたレトロウイルス性の遺伝子トラップベクターを用いて継続的に単離を進めている。既に幾つかの軟骨特異的遺伝子を単離してきたが、トラップ効率は当初考えていたよりもかなり低いことが明らかになってきた。そこで擬陽性の遺伝子がトラップされる原因を明らかにし、その上でより高い確率で特異的遺伝子が単離可能な実験条件の改善を進めている。現在、遺伝子トラップ陽性細胞の候補としてまず15μMのガンシクロビア存在下でも高い増殖性を示す細胞を選び出し、次にそれら細胞の中から軟骨細胞へ分化した後にハイグロマイシン耐性を示す細胞を選び出す2段階選択方式に切り替えて研究を進めている。またトラップベクターについても、より効果的に軟骨特異的遺伝子が取り出せるよう更に改良を加えている。
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