2002 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞免疫細胞と表皮細胞を標的とする急性肺障害の遺伝子治療
Project/Area Number |
13470317
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小谷 直樹 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (30205405)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 敏 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (10236276)
橋本 浩 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (00218421)
|
Keywords | 肺胞マクロファージ / 遺伝子治療 / サイトカイン / 接着分子 / 抗菌能 / 急性肺障害 / 生体侵襲 / 炎症 |
Research Abstract |
1.軽度高二酸化炭素血症が肺胞マクロファージ(AM)に及ぼす影響:軽度の高二酸化炭素血症の肺保護効果について検討した。麻酔導入直後、2、4時間後、および手術終了時に、肺胞気管洗浄でAMを採取した。AMの抗菌能の判定をビーズの貪食能とリステリア菌の細胞内殺菌率で評価した。AMの炎症性変化の判定を、定量的RT-PCRを用いたサイトカインの遺伝子発現で評価した。さらにリンパ球の分布と接着分子の細胞表面抗原の変化をフローサイトメトリで評価した。貪食能と殺菌能における群間差は軽度であった。炎症性サイトカインの遺伝子発現、活性リンパ球の上昇、リンパ球の接着分子の増加は高二酸化炭素血症で管理した患者の方が軽度であった。したがって術中の肺炎症反応を抑制することが示唆された。 2.手術侵襲の違いが肺胞マクロファージ(AM)に及ぼす影響;手術侵襲の違いがAMに及ぼす影響を評価した。実験1に準じてAM機能を評価している。多くの炎症性および抗炎症性サイトカインの遺伝子発現や、リンパ球の接着分子や活性リンパ球の増加は手術侵襲に比例して亢進していた。したがって手術侵襲が大きい程AMの炎症反応が高度と考えられる。 3.分子生物学的研究の進達度:昨年度の研究から表皮細胞を標的としたIL-10の遺伝子注入により大量に血中レベルを上昇させることに成功した。予備実験ではのエンドトキシンショックによる肺障害を軽減した。AMのgranulocyte-colony stimulating factorの遺伝子導入をrota-virusを使って成功させた。今後このモデルを使用し、肺感染の予防効果を評価する所存である。
|