2001 Fiscal Year Annual Research Report
bc1-2とNFκBを分子標的とした泌尿器系癌に対する遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
13470341
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村井 勝 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90101956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大東 貴志 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80185371)
中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (10167546)
丸茂 健 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80138130)
堀口 裕 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60229234)
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00213885)
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Keywords | 腎細胞癌 / TRAIL / NF-κB |
Research Abstract |
TRAILはTumor necrosis factor(TNF)ファミリーに属するリガンドであり、癌細胞に特異的にアポトーシスを誘導する分子として注目されている。腎細胞癌に対するTRAILの抗腫瘍効果を細胞株を用いて検討した。TRAILの抗腫瘍効果は6種の腎細胞癌株(KU-2,Caki-1,KU19-20,ACHN,769P, A498)を使用して検討した。TRAILは3種の腎細胞癌株(Caki-1,ACHN, A498)でのみアポトーシスを誘導した。非感受性の機序を調べるため、リセプターあるいはリセプターの細胞内ドメインと結合するアダプター蛋白の発現との相関、さらにシグナル伝達の下流に存在するNF-κBの活性化との関連につき検討を加えた。KU-2ではリセプターであるDR4とDR5の発現を認めず、非感受性の原因と考えられた。ところが他の細胞株では感受性との相関は認めなかった。アダプター蛋白であるFADD、TRADD、TRAF1、TRAF2、TRAF3の発現をRT-PCR法で検討したが、感受性との相関は認めなかった。NF-κBの活性化をゲルシフト法で検討した結果TRAILに非感受性であるKU19-20と769Pで高い活性化を認めた。NF-κBの細胞内抑制因子であるIkBaのcDNAをサブクローニングし、アンチセンスの方向にレトロウイルスに組み込み、これをTRAILに感受性であるCaki-1とACHNに感染させてstableな系を得た。この系ではNF-κBの恒常的活性化が生じており、これらの細胞はTRAILに非感受性となった。以上、TRAILに対する感受性はリセプターの発現が寄与するだけでなくNF-κBが抑制的に作用しているものと考えられる。腎細胞癌は治療的側面から見て、NF-κBの活性化が低くTRAILに感受性であるものとNF-κBの活性化が高くTRAILに非感受性であるものとに分類できる可能性がある。
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Research Products
(1 results)