2003 Fiscal Year Annual Research Report
生殖現象とサイトカインクロストーク-神経-免疫-内分泌相関からの検討-
Project/Area Number |
13470347
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
齋藤 滋 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (30175351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 哲 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30345590)
酒井 正利 富山医科薬科大学, 附属病院, 助教授 (90242502)
西条 寿夫 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (00189284)
宮埼 聡美 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (90361956)
佐々木 泰 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (60324050)
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Keywords | 免疫 / サイトカイン / 生殖 / 妊娠 / 流産 / 早産 / 妊娠中毒症 |
Research Abstract |
異物である胎児を許容するために、母児接点の場である子宮内の免疫環境はTh2免疫が優位となっており、胎児を攻撃する可能性のあるTh1免疫は抑制された状態となっていることを前年度に報告した。本年度の研究では子宮内でTh2優位となる機序を解明するとともに原因不明習慣流産例や妊娠中毒症例でのTh1/Th2バランスを検討することを目的とした。以下にその要点を記す。(1)Th1/Th2バランスを調節する細胞は樹状細胞(DC)であるが、DCにはmyeloid DCとlymphoid DCの2つのサブタイプがある。前者はIL-12を産生しTh1細胞の誘導に関与し、後者はTh2細胞の誘導に関与することが、これまで知られていた。今回得られた結果では、意外なことに脱落膜中のDCはmyeloid DCが主体であったが、IL-12産生は低下しており、ナイーブT細胞をTh2細胞に効率よく誘導し、末梢血中のmyeloid DCとその性格を異にすることを証明した。(2)原因不明習慣流産(URSA)症例で胎児染色体正常例では基底脱落膜でのTh2細胞とTc2細胞の集簇がおこっていないことを初めて示した。一方、URSA例で胎児染色体異常例では基底脱落膜でのTh2、Tc2細胞の集簇は起こっていた。以上の結果は、着床局所でTh2免疫が誘導されなければ、母体の免疫学的胎児許容機構が破錠し、流産が生じる可能性を間接的ではあるが、ヒトで初めて証明したことになる。(3)妊娠中毒症において末梢血のTh1/Th2バランスはTh1優位になっていたが、その機序としてIL-12、IL-18産生が亢進することを明確にした。同時に、血清中のGranulysin値を測定することにより、簡便にTh1/Th2比を推定できることを示し、血清中Granulysin値が妊娠中毒症例での平均血圧と正の相関を示すことも明らかにした。以上より、Th1免疫が妊娠中毒症の病因、病態に深く関与することを明らかにした。すなわち妊娠中毒症も免疫学的胎児許容機構の破錠と考えられる。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Miyazaki S. et al.: "Predominance of Th2-promoting dendritic cells in early human pregnancy decidua"J.Leukoc.Biol.. 74. 514-522 (2003)
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[Publications] Michimata T. et al.: "Decrease of T-helper 2 and T- cytotoxic 2 cells at implantation sites occurs in unexplained recurrent spontaneous abortion with normal chromosomal content"Hum.Reprod.. 18. 1523-1528 (2003)
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[Publications] Saito S., Sakai M: "Th1/Th2 balance in preeclampsia"J.Reprod.Immunol.. 59. 161-173 (2003)
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[Publications] 斎藤 滋, 酒井正利: "生殖とサイトカイン 流・早産とサイトカイン"HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY. 10. 1-7 (2003)
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[Publications] 斎藤 滋, 宮崎聡美, 佐々木 泰: "胎盤・脱落膜とサイトカイン"産婦人科の実際. 52(6). 699-707 (2003)
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[Publications] 米田 哲, 酒井正利, 斎藤 滋: "早産の予知と予防"産科と婦人科. 70. 1791-1797 (2003)
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[Publications] 宮崎聡美, 佐々木 泰, 斎藤 滋: "着床のメカニズム"産科と婦人科. 10. 1295-1302 (2003)
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[Publications] 池本 桂子: "胎生期ストレスがカテコールアミン(CA)ニューロンの発生に与える影響:形態的アプローチ"脳と精神の医学. 14. 323-330 (2003)
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[Publications] Sakai M. et al.: "The ratio of secreted interleukin (IL)-18 to IL-12 by peripheral blood mononuclear cells is increased in normal pregnant subjects and decreased in pre-eclamptic patients"J.Reprod.Immunol.. (in press).
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[Publications] Sakai M. et al.: "Serum granulysin is a marker for Th1 type immunity in preeclampsia"Clin.Exp.Immunol.. (in press).
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[Publications] Sakai M. et al.: "Elevated interleukin 8 in cervical mucus as an indicator for treatment to prevent premature birth and preterm, prelabor rupture of membranes : A prospective study"Am.J.Reprod.Immunol.. (in press).
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[Publications] Sasaki Y. et al.: "Decidual and peripheral blood CD4^+CD25^+ regulatory T cells in early pregnancy subjects and spontaneous abortion cases"Mol.Hum.Reprod.. (in press).