2001 Fiscal Year Annual Research Report
Bell麻痺における病因ウイルスの早期診断および麻痺発症の機序と治療に関する研究
Project/Area Number |
13470360
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
村上 信五 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (80157750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 直哉 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (90219816)
西野 仁雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60073730)
中島 捷久 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (40012778)
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Keywords | ベル麻酔 / 単純ヘルペスウイルス1型 / リント症候群 / 神経血流 / 神経内圧 |
Research Abstract |
平成13年度は(1)ベル麻痺、ハント症候群における顔面神経麻痺の病態として側頭骨内顔面神経の浮腫と神経内圧、血流障害の検討、および(2)ベル麻痺における病因ウイルスに関する分子生物学的検索を施行した。麻痺の病態としての神経内圧の研究では、レーザードップラー血流計と圧トランデユーサーを用いて顔面神経減荷術の際に側頭骨内顔面神経の血流と神経内圧を測定した。その結果、ハント症候群ではベル麻痺や外傷性麻痺に比べ垂直部と錐体部、水平部において神経内圧が上昇して、その結果、血流が少なく、10ml/分/100g以下の症例が多くみられた。また、膝神経節部は疾患にかかわらず他の部位より血流が多い傾向がみられた。さらに、神経鞘切開前後の血流変化では、ベル麻痺、ハント症候群では神経鞘切開により血流が増加する症例と逆に減少する症例が見られた。神経鞘切開前に血流の多かった症例では切開後に血流が減少し、逆に血流の少なかった症例では切開により血流が増加する傾向がみられた。顔面神経の血管は神経鞘(extrinsic system)と神経実質(intmsicsystem)に分布し、両者は穿通血管で連絡されている。そして、この穿通血管は壁が薄く、浮腫などの神経内圧の上昇により閉塞されやすいと考えられている。神経鞘を切開することは神経鞘の血管や穿通血管を損傷するが、一方では上昇した神経内圧を正常化させる効果をも持ち合わせている。したがって、神経鞘の切開により血流が低下する理由として神経鞘やそれを穿通する血管の損傷が、また、増加する理由として神経内圧の正常化による神経内血管の拡張が考えられた。 ベル麻痺における病因ウイルスの検索に関しては、患者の唾液や手術材料から通常のPCRで約30%に単純ヘルペス1型(HSV-1)のDNAが検出された。Nested PCRあるいはサザンブロットで感度を上げれば、さらに検出率が向上することが考えられた。平成13年度の研究成果から、ベル麻痺の病因としてHSV1の関与が臨床材料からも診断可能であること、また麻痺の病態として神経浮腫と神経内圧上昇による循環障害が重要であることが明らかになった。これらの研究成果は治療に応用できるものであり、平成14年度以降は神経の再生とウイルスの再活性化のメカニズムを検討する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takahashi H et al.: "Mouse model of Bell's palsy cinduced bu reactivation of herpes simplex virus type1"J Neuro Pathol Exp Neurol. 60. 621-627 (2001)
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[Publications] Yanagihara N, et al.: "Transmastoid decampression as a treatmont of Bell's galsy"Otolaryngol Head Neck Sung.. 124. 282-286 (2001)
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[Publications] Aihara N, et al.: "Neuroma of greater superficial petrusal nerve developed aut fanal paldy"Skull Base: An Interdicipl: nary Apprach. 11. 77-80 (2001)
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[Publications] 村上信五 他: "単純ヘルペスウイルスと末梢性顔面神経麻痺"神経内科. 54. 411-419 (2001)
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[Publications] 村上信五: "Bell麻痺と単純ヘルペスウイルス"耳鼻咽喉科臨床. 94. 857-868 (2001)
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[Publications] 村上信五: "ベル麻痺ハント症候群における最近の話題と診断治療の進歩"耳鼻咽喉科展望. 44. 448-456 (2001)