2002 Fiscal Year Annual Research Report
Bell麻痺における病因ウイルスの早期診断および麻痺発症の機序と治療に関する研究
Project/Area Number |
13470360
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
村上 信五 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80157750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 暢浩 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90285221)
西野 仁雄 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60073730)
中島 捷久 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40012778)
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Keywords | ベル麻痺 / 単純ヘルペスウイルス1型 / 神経障害 / 免疫操作 / ウイルス感染細胞 |
Research Abstract |
平成14年度はHSV-1の顔面神経における感染細胞とウイルスレセプターの同定に関する研究を行った。マウスの耳介にHSV-1を接種し、麻痺モデルを作成後、顔面神経、脳幹を超低温フリザーで凍結し、マイクロスライサーにて薄切し、グルタールアルデハイドで固定後、電子顕微鏡にてウイルスの標的細胞とその感染部位を検討した。その結果、ウイルスは顔面神経の知覚神経節である膝神経節と運動神経核である顔面神経核に感染し増殖することが明らかになった。また、シュワン細胞やアストロサイトにも感染することが明らかになった。 また、免疫操作による顔面神経麻痺発症の免疫系の関与に関する研究も施行した。すなわち、マウスにHSV-1を接種後、抗TCR抗体を用いて免疫能を低下させたり、抗HSV-1抗体やHSV-1感作T細胞をマウスに人為的に移入し、麻痺発症の機序と免疫系の関与を検討した。その結果、HSV-1の初感染モデルでは免疫操作により、麻痺の発症頻度や重傷度に変化がみられず、また予防効果も認められなかった。この事実から、初感染ではウイルスが一旦、神経組織に感染した場合は神経-血管関門により移入免疫が神経内に入らない可能性、そして麻痺の発症機序は自己免疫的神経障害ではなく、ウイルスの直接傷害であることが示唆された。 平成15年度は、よりベル麻痺に近い再活性化モデルを用いて、上記実験を施行する計画である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Wakisaka H, Hato N, Honda N, et al.: "Demyelination associated with HSV-1-induced facial paralysis^1"Experimental Neurology. 178. 68-79 (2002)
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[Publications] Honda N, Hato N, Takahashi H, Wakisaka H, Kisaki H, et al.: "Pathophysiology of facial nerve paralysis induced by herpes simplex virus type 1 infection"Ann Otol Laryngol. 111. 616-622 (2002)
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[Publications] 村上信五, 木口 淳, 安藤 豪, 松田太志, 渡邉暢浩: "Ramsay Hunt症候群における顔面神経全減荷術の経験-経中頭蓋窩および経乳突アプローチの併用-"Facial Nerve Research. 22. 29-31 (2002)
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[Publications] 村上信五, 渡邉暢浩: "顔面神経減価術"耳鼻咽喉科・頭頸部外科. 74・5. 47-50 (2002)
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[Publications] 村上信五, 石田雄介: "顔面神経の移植法"JOHNS. 18・2. 271-273 (2002)
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[Publications] 村上信五, 木口 淳: "側頭骨内顔面神経の臨床解剖"Practical Otolaryngology耳鼻咽喉科・頭頸部外科のための臨床解剖. 68-71 (2002)