2002 Fiscal Year Annual Research Report
血行力学的応力と組織酸素分圧に起因する血管新生メカニズムの生体工学的研究
Project/Area Number |
13470379
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
市岡 滋 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (60306272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 政廣 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60158954)
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Keywords | 血管新生 / 酸素分圧 / 血行力学 / 剪断応力 / 血管リモデリング / 生体顕微鏡 |
Research Abstract |
血管新生がどのようなメカニズムで行われているのか、すなわち血管系の構築を決める設計図はあるのか、そこに何か共通した法則はあるのかといった問題が古くから議論されてきた。生体をひとつの統合されたシステムとして見る生体工学においては、酸素を要している組織(例えば低酸素状態)に最も効率良く酸素供給ができる血管系の最適分岐構造モデルが提唱されている。その見地では、血管新生は無目的に起こる現象ではなく、最適分岐構造を実現するための血管構築の適応性変化(血管リモデリング)とみなすことができる。酸素供給の機能効率を最大に保つ機序として、血流に起因する血行力学的情報、特にshear stress(壁ずり応力、剪断応力)に対する内皮細胞の適応性反応が血管系全体の構造を制御するというメカニズムが想定されている。 本研究ではこれまで分子生物学や遺伝子工学で得られた知見の生体における機能的意義を明らかにすることを目指し、in vivoで血流動態を同定することができ、なおかつ酸素分圧と血管新生を解析できる新しい実験モデルを開発した。それを用いて血行動態の詳細な測定と酸素分圧、血管新生の定量分析を行った。 生体顕微鏡下でマウス背部皮弁の微小循環を可視化できる小型chamberを設計試作し、血管解剖の検討によって、skinfold chamberを中心とした島状皮弁が挙上できることを確かめた。Pedicleの血管を一定時間遮断後血流再開することにより虚血再灌流障害を起こし、chamber内の微小血管の一部が壊死し、一部が生存するという状況を作り出すことに成功した。その際に壊死と生存の境界領域で盛んな血管新生が起こることを見い出した。このモデルでで微小循環血行動態、組織酸素分圧、血管新生の関係を定量することが可能になった。
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[Publications] Ichioka, S. et al.: "Clinical use of amrinone(aselective phosphodiesterase III inhibitor) In reconstructive surgery"Plast Reconstr Surg. 108. 1931-1937 (2001)
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[Publications] Ichioka, S. et al.: "Microvascular and interstitial PO(2)measurements In rat akeletal muscle by phosphorescence quenching"J Appl Physiol. 91. 321-327 (2001)
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[Publications] Ichioka, S. et al.: "Dorsal bipedicled island skin flap : A new flap model in mice"Scand J Plast Reconstr Surg Hand Surg. 36. 262-267 (2001)
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[Publications] Ichioka, S. et al.: "In vivo model for visualizing flap microcirculation of ischemia-reperfusion"Microsurgery. 22. 304-310 (2002)
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[Publications] 市岡 滋ほか: "創洗浄における簡易局所シャワーの有用性"褥瘡会誌. 3. 32-37 (2001)