2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯の初期発生に関わる遺伝子群および細胞群の同定・機能解析
Project/Area Number |
13470384
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂井 英隆 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (80136499)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 家吉 九州大学, 大学院・歯学研究院, 講師 (40243951)
松尾 拡 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (70238971)
|
Keywords | 歯胚 / 発生と再生 / cDNAサブトラクション / in situ hybridization / アンチセンス法 / 器官培養 |
Research Abstract |
平成13年度はマウス胎生10.5日(E10.5)と12.0日(E12)の下顎からmRNA採取し、cDNAに変換した後、cDNAサブトラクションを行い、歯胚の初期発生に関わる可能性が高い遺伝子群を見い出した。その内訳は、E10.5に強く発現するものとして核内蛋白2つ、シグナル伝達に関連するもの2つ、熱ショック蛋白4つ、細胞外蛋白1つ、未知の遺伝子6つが、一方E12に強く発現するものとしてアミノ酸翻訳に関するもの1つ、細胞内輸送に関するもの1つ、アクチン集重合に関するもの1つ、膜関連蛋白1つ、そして未知の遺伝子3つであった(Int. J. Dev. Biol.,45:675-680,2001)。半定量的RT-PCR法により発現の差異が確認された遺伝子の中で、E10.5の下顎に差異的に発現しているSet-α, heat shock protein (Hsp86,Hsc73,Hsj2)について、マウス胎仔の下顎におけるその発現様式をin situ hybridization法を用いて検索した。その結果、Set-α、Hsp86,Hsc73,Hsj2の発現分布は歯胚の発育過程のすべての段階で歯原性上皮および歯乳頭内の間葉系細胞にほぼ一致しており、特にE18における鐘状期歯胚では内エナメル上皮と象牙芽細胞に限局した発現を認めた。興味あることにこれらの遺伝子はこれまで歯胚発生との関連において報告されていないものであった。Set-αについてはすでにThe Histochemical Journalに投稿し、現在印刷中である。Hsp86,Hsc73,Hsj2の発現分布については、投稿準備中である。また我々はすでに歯胚の発育段階でアポトーシスが歯牙の形態形成に密接に関連していることを示した(Histochem. J. 31:367-377,1999)。さらに、細胞死実行の主要因子である活性化型Caspase-3に対する特異的抗体を用いてアポトーシスとの関連を詳細に検討し、TUNEL陽性細胞の分布にほぼ一致して活性化型Caspase-3が発現しており、歯胚形成過程におけるカスパーゼ3経由のアポトーシスの存在を明かにした(Histochem. J. 33:253-258,2001)。さらに硬組織の形成と関連性がある事が示されているcore binding factor 1(cbfa1)についてin situ hybridization法による発現様式と、アンチセンス法による機能解析を器官培養法を用いて行った。その結果、cbfa1が帽状期以降の歯胚の発育に関与している事が明かとなった。この結果についても現在論文投稿準備中である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Haruyoshi Yamaza, et al.: "Detection of differentially expressed genes in the early developmental stage of the mouse mandible"International Journal of Developmental Biology. 45・4. 675-680 (2001)
-
[Publications] Noriatsu Shigemura, et al.: "Localization of activated caspase-3-positive and apoptotic cells in the developing tooth germ of the mouse lower first molar"The Histochemical Journal. 33・5. 253-258 (2001)
-
[Publications] Haruyoshi Yamaz, et al.: "Expression of Set-a during morphogenesis of mouse lower first molar"The Histochemical Journal. (in press). (2002)