2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜組織における恒常性維持とMechanical stress応答の分子機構
Project/Area Number |
13470389
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
下野 正基 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 雅和 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40155065)
橋本 貞充 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (10201708)
井上 孝 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20125008)
安彦 善彦 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (90260819)
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Keywords | 歯根膜 / 歯根膜線維芽細胞 / 歯周組織 / マラッセ上皮遺残 / 伸展刺激 / 伸展活性化チャンネル / 細胞分化 / 細胞機能発現 |
Research Abstract |
歯根膜は歯周組織の再生および恒常性維持において重要であることは良く知られており、この機能と関連して、歯根膜線維芽細胞が高いアルカリフォスファターゼ(ALP)活性を示し硬組織形成能を有することや、硬組織を形成するためにはBMPなどの誘導蛋白が必要であること、培養下ではdexamethazoneを添加すると骨組織が形成されること、歯根膜線維芽細胞によって産生された接着伸展因子およびFGFはALP活性を阻害すること、細胞密度が高いこと、などの研究結果が示されているものの、その詳細に関しては充分に明らかにされてはいない。本研究の目的は、咀嚼圧(機械的圧刺激)に対して、MERおよびPLはどのように応答するのかを、機械的刺激を培養細胞に与えて検討することであり、圧刺激によって、歯根膜線維芽細胞やマラッセの上皮遺残細胞の細胞増殖、細胞分化、機能発現がどのように変化するのかについて明らかにする。平成13年度は、本年度に納入された培養細胞多方向伸縮装置(フレクサーセル、FX-3000-system、Flexcell社製)を用いて、ラットの抜去歯牙周囲から採取、初期培養した歯根膜線維芽細胞(3継代、4継代培養細胞)を、伸縮装置のシリコンチャンバー上に培養し、細胞を伸展させる実験を開始している。培養細胞は伸展刺激装置に載せて細胞を一方向へ伸展させ、培養細胞への機械刺激方法の一つとしては、伸展活性化チャネル刺激薬である低浸透圧溶液と、電位依存性カルシウムチャネルの有無の確認に電位依存性カルシウムチャネル刺激薬である高濃度KCl溶液を用いた。細胞内のカルシウムイオン濃度を指標に細胞内カルシウム濃度を計測したところ、計測した細胞(n=10)すべてにおいて、低浸透圧刺激による細胞内カルシウム濃度の上昇が認められた。しかし、高濃度KCl溶液による応答は、全体の40%の細胞にしか見出されなかった。ラット歯根膜の培養細胞の全ての細胞に伸展活性化チャネルが存在したことから、伸展刺激により、形態の変化、細胞分化、増殖などの機能発現が促進されるものと考えられた。
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