2003 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣摘出骨粗鬆症サルにおける顎骨・歯周組織病変の解析
Project/Area Number |
13470397
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阪本 真弥 東北大学, 歯学部附属病院, 講師 (90157686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬飼 健 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10333824)
篠田 壽 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80014025)
森 士朗 東北大学, 歯学部附属病院, 講師 (80230069)
福本 学 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60156809)
笹野 高嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10125560)
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Keywords | Osteoporosis / CT / Bone mineral density / Ovariectomy / μ-CT / monkey / Temporomandibular disorder / Chronic Periodontitis |
Research Abstract |
骨粗鬆症は、歯周病、顎関節症、インプラント治療の予後、義歯のリスクなどと深く関わる疾患として注目されているが、これらの疾患は環境などの2次的影響が大きく、骨粗鬆症が歯槽骨や顎関節等に与える影響についての動物実験を中心とした基礎的なデータはほとんどない。そこで骨粗鬆症が顎骨に与える影響をエックス線学的、骨形態学的に明らかにし、骨粗鬆が顎骨に与える影響の基礎的データを得る事を目的として、卵巣摘出サルの顎骨・歯周組織について解析した。研究試料は、卵巣摘出術後2年経過した卵巣摘出群21体および、開腹術のみ施され2年経過したコントロール群21体で、約10歳前後の雌のカニクイザルの頭部標本である。研究方法はこれら頭部標本の頭部X線規格写真、顎関節のシューラー法、デンタルX線写真、CT、μ-CT、軟エックス線写真などを撮影し、形態学的検討および骨塩量の測定を行った。また、歯垢や歯石の沈着の程度、歯周ポケットの深さ、咬耗の程度、歯槽硬線や歯根膜腔の幅なども調べた。以下にこれまでの研究成果を示す。 1.頭部X線規格写真側面像では、顎骨の形態や大きさに有意差はなく、部位別骨塩量は、卵巣摘出群はコントロール群に比べ、下顎小臼歯根尖部、下顎大臼歯根尖部、下顎角部で有意に低下していた。 2.エックス線CTでは、顎骨のすべての部位で卵巣摘出群ではコントロール群に比べ低いCT値を示し、特に下顎頭で有意に低下していた。 3.軟エックス線写真では、下顎臼歯部の歯槽中隔、根間中隔、根尖部歯槽骨で骨塩量に有意差がみられた。 4.歯垢・歯石の沈着の程度、咬耗の程度は、両群の間に有意差はみられなかった。デンタルエックス線写真で歯槽骨の吸収の程度、歯槽硬線の肥厚や消失、歯根膜腔の拡大などにも有意差はみられなかった。 5.下顎頭の海面骨の骨塩量がは、卵巣摘出群がコントロール群に比べ低下していた。 以上の結果より、卵巣摘出により骨塩量の低下が顎骨にもあらわれ、部位により骨塩量の低下の程度に違いがあること、章かな歯周病の発症リスクにはならないことなどが明かとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 村上 裕規: "卵巣摘出によるカニクイザル顎骨の骨塩量の変化"東北大学歯学雑誌. 22. 33-38 (2003)
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[Publications] 犬飼 健: "卵巣摘出によるカニクイザル顎骨の変化に関するX線CTを用いた研究"東北大学歯学雑誌. 22. 39-42 (2003)
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[Publications] 篠田 壽: "ラット実験的歯周炎に及ぼすビスホスホネートの影響"Clinical Calcium. 13. 600-603 (2003)
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[Publications] Shuji Sassa: "Preventive effect of ferulic acid on bone loss in ovarectomized rats"In vivo. 17. 277-580 (2003)