2002 Fiscal Year Annual Research Report
噛みしめ動作の全身的ストレス防御反応における機能的意義
Project/Area Number |
13470408
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 誠 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80091768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 佳功 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40238035)
玉澤 佳純 東北大学, 歯学部附属病院, 講師 (10124603)
菊池 雅彦 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (60195211)
佐藤 智昭 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50312591)
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Keywords | ストレス / 顎関節症 / 咬合 / 噛みしめ |
Research Abstract |
ストレスに対する生体反応は全身機能と深く関わり、疾患の原因となる可能性が示唆されている。ストレスに起因すると考えられる歯ぎしりなどのブラキシズムは顎関節症の原因として重要視されているが、その発現については不明な点が多い。我々はこれまでストレスと咬合、全身機能の関係について様々な方向から検討を行ってきた。その中で、前方部にプラスチック板を差し込んだ円筒にマウスを閉じこめた拘束ストレス実験において、実験中にマウスはプラスチック板を噛み続けていることを発見し、噛みしめ動作が精神的ストレスに対する生体反応を低減、緩和する一種の防御反応としての役割を有しているとの仮説を立てた。これをふまえて平成13年度は、拘束下でプラスチック板を噛み続けているマウスと、プラスチック板に届かないよう尻尾を固定してプラスチック板を噛めないマウスにおけるストレス反応の違いを検索する目的で、ストレスの指標として血中コルチゾール濃度を用いて比較検討した。その結果、同じ拘束ストレスでも、プラスチック板を噛んでいたマウスは噛んでいないマウスに比べて血中コルチゾール濃度の上昇が低かった。また、抗うつ薬で昂るフルオキセチンを投与し、噛める状態で拘束した場合、プラスチック板を噛む量、血中コルチゾール濃度がともに減少した。これは、抗うつ薬が中枢に作用してストレスが軽減されたため、噛むことによりストレスを軽減する必要が減少したことを示唆していると考えられる。さらに、平成14年度は、マウスのサーカディアンリズムに着目し、マウスの活動時間である夜と休息時間である昼でどのようにストレスに対応するのかを検討するため、夜と昼にそれぞれプラスチック板を噛める状態で拘束した。その結果ストレスに敏感であると思われる夜のほうがプラスチック板を噛む量が多かった。これらの実験結果から噛みしめ動作が精神的ストレスに対する生体反応を低減、緩和する可能性が確認された。
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