2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13470421
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
西山 典宏 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (90112953)
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Keywords | セルフエッチングプライマー / アミド系モノマー / 接着強さ / 相互作用 |
Research Abstract |
本研究では,脱灰象牙質のプライミング材として実績のあるN-メタクリロイル-ω-アミノ酸(NMωA)とN-メタクリロイル-アミノアルキル-ホスホン酸(NMωP)からなる新規セルフエッチングプライマーシステムを開発することを目的としている. 本年度は,N-メタクリロイルグリシン(NMGly)およびN-メタクリロイル-アミノエチル-ホスホン酸(NMEP)を合成して,調整したNMGly-NMEP水溶液をセルフエッチングプライマーとしてエナメル質および象牙質に作用させた場合の歯質に対するコンポジットレジンの接着強さを調べるとともに,NMGly-NMEP水溶液中にヒドロキシアパタイト(エナメル質のモデル)または象牙質を共存させ,NMR法を用いて両者の相互作用の詳細について明らかにし,NMGly-NMEP水溶液のセルフエッチングプライマーとしての有用性を検討した. NMGly-NMEP水溶液で処理した歯質に対するコンポジットレジンの接着強さを測定した結果,5mol%NMGly水溶液にNMEPを添加すると,エナメル質へのレジンの接着強さは添加量の増加に伴い増大したが,象牙質の場合レジンの接着強さは低下する傾向を示した.エナメル質および象牙質に20MPa以上の接着強さを得るためには,5mol%NMGly水溶液1gに対するNMEPの最適添加量は0.7mmolであることがわかった. NMGly-NMEP水溶液中にヒドロキシアパタイトまたは象牙質を共存させ,両者の相互作用の詳細についてNMR法を用いて検討した結果,NMEP分子内ホスホン基およびNMGly分子内カルボキシル基は,ヒドロキシアパタイトおよび象牙質に含まれるCaと反応し,相互作用を起こすことがわかった.また,NMEP分子内ホスホン基の方がNMGly分子内カルボキシル基より歯質Caと優先的に相互作用を起こすことがわかった.これは,NMEP分子内ホスホン基のpKaはNMGly分子内カルボキシル基のpKaより低いためと考えられた.
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