Research Abstract |
研究実施計画の第一目的,立体的な構造物である歯の咬合状態を二次元ではなく三次元的にとらえ,健常有歯顎者の咬合状態のより詳しい解析を行うため,若年健常有歯顎者の咬頭嵌合位における咬みしめ強度の増加に伴う咬合接触域の変化をとらえるため上顎第一大臼歯にて検討した. 被験者として,顎口腔系に自覚的,他覚的に異常を認めず,全顎において齪蝕および修復処置のない健常有歯顎者(20歳代,5名)を選択し,咬合採得用の金属フレームと,咬合採得材(GN-I CADシリコーン,ジーシー社製)を用いて5%MVC,30%MVCにて咬合採得を行った.非接触三次元計測装置にて各咬みしめ時のシリコーンバイトの形状計測を行い,CADコンピュータ,および点群処理ソフトウエアを用いて,上顎第一大臼歯の咬合面をMBC, DBC, MLC, DLC, MMR, DMRの6部位に分類し,接触面積,各接触域における傾斜方向について解析を行った. また,各接触域における傾斜方向を表現するために前頭面観における側方的な傾斜方向(以下,Lateral angle)と,矢状面槻における前後的な傾斜方向(以下,A/P angle)の2つのパラメータを用いた.両angleにおいて,上顎咬合平面に垂直なZ軸と面積ベクトルとのなす角度を咬合接触域の側方的な傾斜角度とし,各部位の咬合接触域のもつ角度分布を算出した. その結果,咬みしめ強度の増加に伴い各部位すべてに面積の増加が認められた.MRC, DBC, MLC, DLCが80%以上の接触率を示し,これらを高頻度接触部位とした.高頻度接触部位におけるLateral angle, A/P angleの分布傾向に咬みしめ強度の増加に伴う顕著な変化はみられなかった. 現在,喪失歯数の増大が起こり始める45歳前後および65歳前後の健常有歯顎者の上顎第一大臼歯と比較検討中であり,各群の他の上顎臼歯群についても解析中である.
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