2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルスベクターを用いた口腔癌の遺伝子治療
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13470432
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
由良 義明 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00136277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
墨 哲郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40252697)
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Keywords | 遺伝子治療 / 口腔癌 / 単純ヘルペスウイルス / 複製可能型組換えウイルス / カルポニン / 悪性組織球腫 / 三叉神経 / 神経再建 |
Research Abstract |
複製可能型遺伝子組換えHSV-1ベクターを用いた癌治療は、病原性や増殖能を制限した変異HSV-1を腫瘍細胞に感染させ、感染の拡大によって腫瘍組織を破壊する方法である。本年度の研究では、以下の3項目につき検討した。1)活性酸素がHSV-1感染に及ぼす影響を知るため、複製可能型組換えHSV-1ベクターであるR849株と野生型KOS株を感染させたロ腔癌紬胞をH202で処理した。その結果、HSV-1細胞外放出は著明に増加することが明らかとなった。あらかじめCa^<2+>キレーター薬で処理しておくとH2O2の効果はみられず、細胞内カルシウムの上昇がウイルス放出に強く関与することがわかった。細胞内Ca^<2+>が上昇する治療との併用で複製可能型組換えHSV-1の腫瘍内伝播が促進するものと思われる。2)ヌードマウスの皮下にロ腔悪性組織球腫細胞を移植することで、肺転移系を確立した。この系を用いて、HSV-1のチミジンキナーゼ遺伝子部分にカルポニンのプロモーターを組み込んだ新規HSV-1ベクターd12.CALPを尾静脈から投与した結果、肺転移に一致してウイルスの増殖を示すX-gal染色陽性の細胞が検出され、PCRにて1acZ遺伝子も確認された。したがって、本ベクターは肺転移病変を選択的に破壊できることが示唆された。3)HSV-1は三叉神経節で潜伏感染したのち再活性化するため、再活性化HSV-1を用いて神経末梢に存在する腫瘍を破壊する可能性につき検討した。ラットを用いた神経切断、再生実験にて下歯槽神経と舌神経の繋ぎ替えによっても神経の維持を図れることが明らかとなった。したがって、癌切除後に移植される組織に神経再建も合わせて行っておくことで、移植組織周辺で再発がみられた場合でも潜伏感染した複製可能型組換えHSV-1による治療が可能と考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ogawa Y. et al.: "Adenoid cystic carcinoma associated with salivary duct in The sublingual gland : a case report"Journal of Oral Pathology and Medicine. in press.
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[Publications] Obayashi S, et al.: "Delivery of ^<10>boron to oral squamous cell carcinoma using boronophenylal-anine and borocaptate sodium for boron neutron capture therapy"Oral Oncology. 40・5. 474-482 (2004)
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[Publications] Imai T, et al.: "Regeneration of periodontal Ruffini endings of rat lower incisors following nerve cross-anastomosis with mental nerve"Brain Research. 992・1. 20-29 (2003)
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[Publications] 道澤雅裕他: "カルポニンプロモーターをもつ条件つき複製可能型単純ヘルペスウイルスベクターを用いた口腔悪性繊維性組織球腫に対する遺伝子治療法の開発"口腔組織培養学会誌. 12・1. 39-40 (2003)
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[Publications] Yura Y, et al.: "Effect of Ca^<2+>-dependent cell death on the release of herpes simplex virus"Archives of Virology. 148・2. 221-235 (2003)