2001 Fiscal Year Annual Research Report
「薬物性歯肉増殖症の病因の研究」-遺伝子操作マウスを用いて-
Project/Area Number |
13470463
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西村 英紀 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80208222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 博史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00274001)
明貝 文夫 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50263588)
大山 秀樹 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90280685)
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Keywords | フェニトイン / ニフェジピン / サイクロスポリン / 薬物性歯肉増殖症 / ライソゾーム酵素 / カテプシン / I-cell病 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
薬物誘導性歯肉増殖症は抗てんかん薬フェニトイン、降圧剤ニフェジピン、および免疫抑制剤サイクロスポリンによって惹起されることが知られている。これまでフェニトインおよびサイクロスポリン存在下で培養した歯肉線維芽細胞はライソゾーム酵素カテプシン-Lの遺伝子発現が抑制され、結果的に酵素活性が低下することを報告した(Yamada H et al., J Periodontol,2000)。このカテプシン-L活性の低下は降圧剤ニフェジピンによっても誘導されることを明らかにした。すなわち三種類の作用の異なる薬剤の服用によって惹起される歯肉増殖症の発症の背景には、ライソゾーム酵素とりわけカテプシン-L活性の低下という共通の機序が働いている可能性を示した。 一方、フェニトイン服用患者において歯肉増殖症を発症する患者亜群は服用量に比べ高い血中フェニトイン濃度を維持する傾向にあること、さらにその一部に薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP2C9)の遺伝子多型が関与する可能性を示した。すなわち、CYP2C9遺伝子多型保有者は非保有者に比べ、極めて高い血中濃度(C)/投与量(D)[C/D比]を示した。本研究結果は将来の発症前予知診断の開発につながるものと考えられる。 最後にカテプシン-L遺伝子欠損マウスを用い、マウスにおけるカテプシン-L酵素活性の低下に伴う表現系を観察した。現在、本マウス歯肉から採取した組織切片を用い組織学的解析を行っている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山田比左, 西村英紀 他: "カルシウム拮抗剤ニフェジピンは歯肉線維芽細胞のカテプシンL活性を抑制する"日歯保存誌. 44(春期特別号). 96 (2001)
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[Publications] Yamada H, Nishimura F et al.: "Ca channel blocker, nifedipine, suppresses cathepsin-L activity in vitro"Journal of Dental Research. 80(special issue). 626 (2001)
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[Publications] 西村英紀 他: "フェニトイン服用患者における代謝酵素CYP2C9遺伝子多型および遺伝子多型が血中フェニトイン動態に及ぼす影響に関する研究"日歯保存誌. 44(秋季特別号). 53 (2001)