2003 Fiscal Year Annual Research Report
「薬物性歯肉増殖症の病因の研究」-遺伝子操作マウスを用いて-
Project/Area Number |
13470463
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西村 英紀 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80208222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 博史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00274001)
明貝 文夫 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50263588)
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Keywords | 薬物性歯肉増殖症 / 薬物代謝 / フェニトイン / チトクロームP450 / CYP2C9 / CYP2C19 / 遺伝子多型 / Concentration(C) / Dose(D)ratio |
Research Abstract |
薬物誘導性歯肉増殖症の病因を解明するには、(1)原因薬剤が副作用を惹起するに充分な有効血中濃度を同定すること、(2)その濃度域における原因薬剤の標的組織に対する薬理作用を検討すること、が必須である。上記(2)に関連して、これまで本疾患を誘導する3種類の薬剤(フェニトイン、ニフェジピン、サイクロスポリン-A)いずれもがin vitroで歯肉線維芽細胞のライソゾーム酵素カテプシン-Lの活性を低下させること、さらにカテプシン-L欠損マウスではヒト歯肉増殖症の病態に極めて類似した歯肉の肥厚性疾患が惹起されることをつきとめた。 一方、血中に移行した薬剤の大部分は肝臓において水酸化され尿中に排泄されることが知られている。さらにこの水酸化をつかさどる変換酵素(チトクロームP450)には遺伝子多型が存在すること、本多型はアミノ酸の置換を伴うため薬物代謝に個体差を生じる可能性があることが示唆されている。そこで、歯肉増殖症を惹起する代表的薬剤であるフェニトインを服用している患者における、フェニトインの血中濃度ならびに疾患の程度とチトクロームP450遺伝子多型との関連性を検討した。その結果、チトクロームP450(CYP2C9およびCYP2C19)の遺伝子多型と疾患発症の有無あるいは疾患の程度との間に直接の関連性は認められないものの、代謝能が低いとされているCYP2C9^*3保有者群では非保有群に比べて、服用薬剤量に対する血中濃度の割合が有意に高く保たれることを明らかにした。すなわち、本多型保有者は仮に同じ投与量であっても非保有者に比し、血中濃度が上昇しやすい傾向にあることが明らかとなった。 以上から、フェニトイン服用者において投与量を変更する際などに本遺伝子多型を調べることは、投与量から血中濃度を推定するうえで極めて有用な参考材料となり得ること、ひいては将来的に本疾患の発症を予知する上で有効である可能性が示された。
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Research Products
(1 results)