2001 Fiscal Year Annual Research Report
海綿由来の分化誘導ならびに細胞周期制御を標的とする抗がん剤シーズの探索
Project/Area Number |
13470470
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (40116033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 俊二 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (60252699)
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Keywords | 海洋生物 / 海綿 / 細胞分化誘導 / 細胞周期制御 |
Research Abstract |
がん細胞特異的に作用する副作用の少ない抗がん剤を開発するために、以下の4種のがん細胞を用いた分化誘導物質の探索試験法ならびに細胞周期の制御物質の探索試験法を構築した。1)ヒト慢性骨髄性白血病細胞(K562)を正常血球細胞へ分化させる分化誘導物質の探索。(K562細胞を赤芽球、顆粒球、マクロファージなどへ分化。)2)マウス神経芽細胞腫(Neuro2A)を神経様細胞へと分化させる分化誘導物質の探索。3)rasトランスフォーム細胞に対する形態正常化物質の探索。(正常細胞にがん遺伝子rasを組み込んでガン化形質を発現させたrasトランスフォーム細胞のガン化形質の正常化。)4)細胞周期阻害物質の探索。(フローサイトメトリーを用いるがん細胞の細胞周期の解析。)そして、日本沿岸やインドネシアで採取した約400種の海綿を中心とする海洋生物の抽出エキスから上記の4種の活性試験法を指標にして分画・精製し、新しい抗がん剤のシーズを探索した。その結果これまでに、1)インドネシア産海綿から単離・構造決定したNeuro 2A細胞に対する神経突起伸長作用を有するポリケチドlembehyne Aについて、全合成を達成した。さらに、全合成の手法を用いて種々のアナログを合成し、構造と活性の相関を解析した。その結果、分子内の1-yn-3R-ol構造と長鎖脂肪鎖の長さが活性発現に重要であり、長鎖脂肪鎖に含まれる不飽和結合の有無は活性発現には重要でないことを明らかにした。作用面では、lembehyne Aは、Neuro 2A細胞の細胞周期をG1期で停止させ、アセチルコリンエステラーゼ活性を上昇させることから、Neuro 2A細胞を機能的にも分化誘導することを明らかにした。2)インドネシア産海綿から単離・同定した海綿由来アルカロイドhymenialdisineが、K562細胞をマクロファージ様に分化誘導することを見いだした。また、hymenialdisineは、K562細胞の細胞周期をG2/M期で停止させ、NBT還元能やアセチルコリンエステラーゼ活性を上昇させることから、K562細胞を機能的にも分化誘導することが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Aoki: "Lembehyne A, a spongean polyacetylene, induces neuronal differentiation in neuroblastoma cell"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 289. 558-563 (2001)
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[Publications] S.Aoki: "Differentiation in chronic myelogenous leukemia cell K562 by spongean sesterterpene"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 282. 426-431 (2001)
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[Publications] S.Aoki: "Reversing effect of agosterol A, a spongean sterol acetate, on multidrug resistance in human carcinoma cells"Jpn.J.Cancer Res.. 92. 886-895 (2001)
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[Publications] N.Murakami: "Total synthesis of lembehyne A, a neurogenic spongean polyacetylene"Tetrahedron Lett.. 42. 1941-1943 (2001)
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[Publications] S.Aoki: "Lembehyne A, a novel neuritogenic polyacetylene, from a marine sponge of Haliclona sp."Tetrahedron. 56. 9945-9948 (2000)
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[Publications] M.Kobayashi: "N.Fusetani(ed.) Drugs from the sea, Basel, Karger"Search for biologically active substances from marine sponges. 46-58 (2000)