2003 Fiscal Year Annual Research Report
海洋産生物活性物質の構造と機能に関する合成化学的研究
Project/Area Number |
13470473
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小林 進 東京理科大学, 薬学部, 教授 (70101102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 誠二郎 早稲田大学, 理工学部, 講師 (10307712)
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Keywords | ノルゾアンタミン / エポラクタエン / アカテルピン / インターロイキン-6 / アポトーシス誘導作用 / PI-PLC |
Research Abstract |
海洋産物の中には、従来の微生物代謝産物には見られない特異な構造と強力な生物活性から注目を集めている化合物が少なくない。本研究は、海洋産物の中から特に、IL-6産生阻害活性を有するノルゾアンタミン、神経樹状突起伸長作用を有するエポラクタエン、PI特異的PLC阻害活性を有するアカテルピンを取り上げ、究極的には天然物を超える分子を創製することを目標とした構造と機能に関する知見を得るための合成化学的研究を行った。 1.ノルゾアンタミン:必要な官能基もしくはその等価体を有する単環性中間体から一挙に五環性のアミナール骨格に誘導する方法論を確立した。この方法論を全合成に利用すべく検討した結果、Whieland-Miescherケトンから出発するB、C環部分合成への見通しを立てることができた。 2.エポラクタエン:全合成に際して課題であったいくつかの工程についてその改良を行った。さらに、今年度は、エポラクタエンの分子内標的を探索することを目的として、アシル基の末端にビオチンあるいは蛍光発色団を導入した。蛍光発色基を導入した化合物は膜を透過して細胞内に入ることを確認した。またビオチン化誘導体を用いたファージディスプレー法によるバイオパニングについても検討した。 3.アカテルピン:上部デカリン環の橋頭位に位置および立体選択的にジエノフィル部分の導入を行い、引き続き、エキソ選択的Diels-Alder反応、選択的還元などによって、二つのデカリン環を有する骨格の構築に成功した。さらに、ヒドロキノン部位を硫酸化してアカテルピンと同じ平面構造を有する物質の合成を達成した。このようにして合成した化合物のNMRデータはアカテルピンのデータと極めてよい一致を示し、アカテルピンの立体化学を確定し、最初の全合成を行うことができた。
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[Publications] 金井 章: "Synthetic Studies Directed toward the Assembly of the C-Glycoside Fragment of the Telomerase Inhibitor D8646-2-6"Organic Letters. 5巻・16号. 2837-2839 (2003)
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[Publications] 神野 智之: "A Concise Approach to 5-Substituted-Pyrones from Kojic Acid"Tetrahedron Letters. 44巻・39号. 2837-2839 (2003)
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[Publications] 倉持 幸司: "A Convergent Total Synthesis of Epolactaene : An Application of the Bridgehead Oxiranyl Anion Strategy"Tetrahedron. 44巻・49号. 9743-9758 (2003)