2002 Fiscal Year Annual Research Report
化学発光測定システムを用いた薬剤性肝障害の検出と解毒機構の解明
Project/Area Number |
13470476
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀江 利治 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90120154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 晃成 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (30323405)
桝渕 泰宏 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (10209455)
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Keywords | 化学発光 / グルタチオン / 酸化的ストレス / MRP2 / 4-ヒドロキシノネナール / エタクリン酸 / 肝障害 / 肝細胞 |
Research Abstract |
肝臓は薬物、代謝物、あるいは老廃物を体外に排出して始めてその解毒機能を完了する。これまでに我々はナプロキセンなどの薬物による肝内酸化的ストレスの発生により胆汁流量が顕著に減少することを観察している。胆汁流には胆汁酸依存性と非依存性胆汁流があり、Multidrug Resistance-associated Protein 2 (MRP2)は後者に関与する。グルタチオン(GSH)は細胞内で最も重要な低分子抗酸化物質であり、肝臓ではMRP2を介して胆汁排泄される。そのためMRP2は酸化的ストレスの発生と進行過程への関与が考えられる。酸化的ストレス下で生成する毒性物質4-ヒドロキシノネナール(HNE)は主にGSH抱合体(HNE-SG)に代謝され、MRP2がその胆汁排泄に主要な役割を果たしていることを明らかにした。 MRP2遺伝子発現イヌ腎臓由来MDCK II細胞では高濃度のHNE存在下でHNE-SGの速やかな排出、細胞内GSHの枯渇、ネクローシスの発現に至ったが、MDCK II細胞ではHNE-SGの細胞内蓄積、抱合反応の抑制により細胞内GSHの低下は軽減され、細胞死には至らなかった。そこでGSH抱合を受けMRP2によって細胞外に排出されるエタクリン酸(EA)を用いて同様に検討したところ、HNEと同様の現象を見出した。 SDラット及びMRP2遺伝的欠損ラット(EHBR)を用いin situ肝灌流法にてEAの効果を検討したところ、SDラットでは肝内GSHの枯渇、脂質過酸化の発現、肝障害が検出されたが、EHBRではいずれも軽減された。さらに、SDラットでは胆管側膜に局在するMRP2の特異的な内在化が観察された。以上の研究成果より、これまで一般に毒性防御に働くと考えられてきたMRP2は、酸化ストレス下においては細胞障害性を増強し得ることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ji B., Ito K., Suzuki H., Sugiyama Y., Horie T.: "Multidrug resistance-associated protein 2 (MRP2) plays an important role in the biliary excretion of glutathione conjugates of 4-hydroxynonenal"Free Radical Biology & Medicine. 33・3. 370-378 (2002)
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[Publications] Isozaki M., Ito K., Masubuchi Y., Horie T.: "Plasma retinol binding protein for monitoring the acetaminophen-induced hepatotoxicity"Drug Metabolism and Pharmacokinetics. 17・6. 540-545 (2002)
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[Publications] Masubuchi Y., Nakayama S., Horie T.: "Role of mitochondrial permeability transition in diclofenac-induced hepatocyte injury in rats"Hepatology. 35・3. 544-551 (2002)
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[Publications] Isozaki M., Masubuchi Y., Horie T.: "Evaluation of drug-induced hepatotoxicity by plasma retinol binding protein"In Vivo. 16・1. 61-65 (2002)