2001 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門における排出トランスポーターの基質認識特性を考慮したドラッグデザイン
Project/Area Number |
13470495
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長野 哲雄 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (20111552)
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00302612)
鈴木 洋史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (80206523)
広野 修一 北里大学, 薬学部, 教授 (30146328)
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Keywords | トランスポーター / 有機アニオン / 血液脳関門 / 血液脳脊髄液関門 / 3次元構造活性相関 / 排出ポンプ / OAT3 / MRP1 |
Research Abstract |
血液脳関門に発現される排出ポンプについて、estradiol 17β glucuronideをモデル基質として用いて寄与率の評価を行った。静脈内投与後estradiol 17β glucuronideの脳内濃度がMdr1ノックアウトマウスでは有意に増加した。脳内投与後の消失もMrp1ノックアウトマウスでは減少した。これらの結果から、Mrp1、P-gpの両排出ポンプが有機アニオンの血液脳関門を介した排出に関与していることが示唆された。Mrp2を遺伝的に欠損しているラットと正常ラットでは、脳内薬物動態に正常ラットとの差が見られなかった。血液脳関門では、P-gp, Mrp1が異物排出に働いているものと考えられる。 細胞内への取り込みに働くOat3、Oatp3といった有機アニオントランスポーターが、血液脳関門に発現していることを見出した。免疫染色の結果によると、両トランスポーターともに、脳毛細血管内皮細胞の脳側細胞膜に局在している。輸送の方向を考えるに、おそらく脳側からの薬物の排出に関与しているものと考えられる。 脳脊髄液からのbenzylpenicillinの排出に、Oat3が深く関わっていることを明らかにした。ペニシリン系抗生物質だけではなく、セファロスポリン系抗生構成物質についても脳脊髄液からの消失が早い抗生物質(cefaclor)については、Oat3の基質となることを見出した。cefalexinはcefaclorは非常に構造が似ているが、脳脊髄液中からの消失は遅く、in vivoでの阻害実験からOat3の基質とならないことが示唆されている。この結果に基づくと、脳脊髄液中・脳内薬物濃度を高めるためには、Oat3に認識されないような構造が必要である。既にOat3の基質薬物の3次元構造活性相関をとり、基質結合部位モデルを作成する作業に入っている。また、ヒトについても基質結合部位モデルを作成するために、ヒトOAT3の基質選択性を明らかにすることが必要である。ヒトOAT3の発現系を、HEK293細胞を用いて作成した。作成した発現系で、benzylpenicillinの輸送活性を確認した。本モデルに基づいて、合理的な薬物デザインが可能になるものと考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Nagata, et al.: "Expression and functional characterization of rat organic anion transporter3(rOat3)in the choroic plexus"Mol.Pharmacol.. (in press). (2002)
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[Publications] D.Sugiyama, et al.: "Characterization of the efflux transport of 17beta-estradionl-D-17beta-glucuronide from the brain across the blood-brain barrier"J.Pharmacol.Exp.Ther.. 298(1). 316-322 (2001)
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[Publications] D.Sugiyama, et al.: "Effect of 17beta-estradiol-D-17beta-glucuronide on the rat organic anion transporting polypeptide 2-mediated transport differs depending on substrates"Drug Metab.Dispos.. 30(2). 220-223 (2002)
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[Publications] H.Kusuhara Y.Sugiyama: "Role of transporters in the tissue-selective distribution and elimination of drugs : transporters in the liver, small intestine, brain and kidney"J.Control.Release. 78(1-3). 43-54 (2002)