Research Abstract |
本年度は,白頭山火山の10世紀頃の噴火に関連する火砕琉堆積物から採取した埋没樹木について,噴火による枯死年代をウイグルマッチングにより正確度をあげて決めることを進めた.昨年の調査で手に入れた別個体の炭化材を,目下分析中である.白頭山の噴火年代については,種々の意見が出されており,9世紀に別途の巨大噴火があったとの意見もある.そこで,本研究の結論であるAD935+8-5の噴火年代が妥当なものか否かについて,更に研究を進めている.また,ウイグルマッチングの精度をあげるために,屋久杉年輪の1年毎の調査を行い,自前の高精度の14C年代-暦年代較正データを作成することを計画したが,適当な材料を採取することが出来なかった, また他の火山噴火の研究として,鬱陵島の噴火年代を検討した.日本に分布するU-Okiテフラは,9.3-9.6kaBPの年代が与えられるいる.この年代を,正確に評価することを目的として,鬱陵島の調査を行った.鬱陵島では,ATテフラ(2.5kaBP)以降のテフラとしてU1,U2,U3,U4の4層が区分されている.今回の調査でも,U2,U3,U4が確認でき,それぞれから,年代測定試料(木炭片,土壌,など)を採取することが出来た.予察的な結果として,U2テフラにより炭化した樹木片の14C年代が約5kaBP(丸太材として採取しウイグルマッチングを実施することは出来なかった),U3直下の土壌が7.5-8.0kaBP, U4直下で採取した木炭片および土壌が,それぞれ12kaBP,10-12kaBPと得られた.これまでは,U2,U3,U4は9.3-9.6kaBP頃にほぼ同時に噴出したものと考えられてきたが,この定説とは大きく異なる結果が得られた.
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