2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい教育の創造・設計に先行実践を活用するための授業研究方法の開発
Project/Area Number |
13480040
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
三橋 功一 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 教授 (40166062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 好和 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 助教授 (30271018)
山崎 正吉 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 教授 (80107242)
中村 紘司 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 教授 (40007563)
梅澤 実 鳴門教育大学, 学校教育実践センター, 助教授 (60314887)
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Keywords | 教育実践 / 先行実践 / 授業研究 / 実践知 / 授業設計の手がかり |
Research Abstract |
(1)新しい教育活動の計画・立案に先行実践を活用するための方法の検討 新しい教育活動を計画・立案し、実施していくには、自らの教育実践を内省し、改善・充実させていく方法と、これまでの多くの優れた先達の実践や先輩・同僚等の実践に学ぶ方法がある。いずれも、その記録を分析・解釈し、そこからメッセージ・手がかりを見つけることである。 (1)先行実践の記録から授業の特徴(教材の解釈と学習課題・場面の設定、教授・学習の展開過程等)を分析・抽出するために、その展開過程の構造を示す「授業の構造」とそこにおける教師の内的な「教授方略・意図の遷移過程とその構造」を視覚的に表す図の活用を検討した。 (2)新しい教育活動である「総合的な学習」の単元開発における個々の教師のもつ「実践知」を、学校内の教師集団の「知」として形成し、共有化するプロセスについてフィールド調査を行った。 (3)日本における授業研究について下記の視点でその系譜(流れ)を調査・概観した。 ・日本が影響を受けたアメリカ、旧ソ連・東ヨーロッパの授業研究 ・コミュニケーション・相互作用、意思決定・工学的アプローチによる授業研究 ・五大学授業研究グループ、全国授業研究協議会の授業研究 (2)教育実習生と教師(指導教官)の教育活動を計画・実施するための力量(実践的能力)について、教育実習生と教師(指導教官)を対象に質問紙による調査・検討 (1)授業の準備段階の総合的な活動としての授業設計における手がかりについての調査データを因子分析を行つた結果、「教科書の指導書、授業の構成等」の13因子を抽出・解釈した。さらに,抽出した因子と授業設計・準備活動のスクリプトに対応させ関連を検討し「教材の解釈・理解(教科書の指導者,教科書)」「教材の表象(働きかけ,反応・応答,教材研究,学習活動)」「授業過程の構成(授業過程の構成,シミュレーション)」等に分類・整理した. (2)教師の教育実践の力量形成に必要な活動について調査データを因子分析を行った結果、「学級づくり、教育・授業デザイン等」の11因子を抽出し解釈した。さらに検討し、指導教官は授業や生徒指導等の基盤となる日常の潜在的で暗黙知的な活動に焦点をあてて指導するが、新しい環境で学ぶ実習生は顕在的で明示化された形式知的な活動を教師の仕事として焦点をあてて学び課題解決を図るという相違点があるという知見を得た。
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[Publications] 三橋功一, 山崎正吉: "授業設計の手がかりに関する因子分析による教師と実習生の特徴"日本教育工学会論文誌(日本教育工学雑誌). 26(3). 129-141 (2002)
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[Publications] 三橋功一, 山崎正吉, 梅澤 実: "教師と実習生が焦点をあてる教育実践の活動を構成する因子の比較"日本教育工学会誌(日本教育工学雑誌). 26(Suppl). 73-78 (2002)