2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480119
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大町 達夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (90126269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平石 哲也 (独)港湾空港技術研究所, 海洋・水工部, 研究員
岩崎 伸一 (独)防災科学技術研究所, 総合防災研究部門, 主任研究員
今村 文彦 東北大学, 大学院・工学研究科・附属災害制御研究センター, 教授 (40213243)
山田 伸之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教務職員 (80334522)
築山 洋 (株)築山研究室, 室長
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Keywords | 近地津波 / 早期検知 / 警報システム / レイリー波 / 津波先行波 / 動的津波解析 / 断層運動 / 津波遡上 |
Research Abstract |
本研究は,震源域内を含む近地津波を,早期に検知し警報を発令するシステムを開発することが目的である.そのために,津波に比べ格段に早く伝播するレイリー波やそれによって励起される海面変動(以後,津波先行波と呼ぶ)を観測して津波を推定する点が本研究の新しい点である.これまでの研究実績として以下のことが挙げられる. 1. 動的津波解析によるレイリー波・津波先行波・津波の相互関係の解明 従来の津波解析手法は,地盤の永久変位を津波初期波形として与え,伝播には長波近似を用いる近似解法であった.しかし,本解析手法では断層運動による時々刻々の地盤変位を流体底 部に与えることで津波を発生させ,津波の伝播には支配方程式にナビエ・ストークス方程式を用いた厳密解法で津波解析を行った(以後,動的津波解析と呼ぶ).この動的津波解析を用いてレイリー波・津波先行波・津波の相互関係を2次元解析から求めた.今後は,引き続き3次元解析と理論解析から関係を求めていく予定である. 2. 1999年台湾集集地震でのレイリー波伝播特性について 動的津波解析の結果からレイリー波の振幅が断層正面,特に断層の破壊伝播方向で大きくなることが指摘されていた.そこで,実際の現象と比較し本解析手法の妥当性を検討するため,1999年台湾集集地震時に観測された多数の地震記録を用いてレイリー波の振幅の大きさや伝播方向を調べ,解析結果との比較を行った. 3. 波源近傍での津波遡上解析 本研究の流体解析にはSOLA-SURF法[C. W. Hirt他,1975]が用いられてきたが,手法上の制約から流体端部は鉛直壁のみの扱いであった.そこで,SOLA-SURF法を発展させたVOF法[B. D. Nichols, 1980]を本解析手法に導入することで端部鉛直壁の制約を取り払い,近地津波の遡上解析を扱えるようにした.
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Research Products
(14 results)
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[Publications] 大町 達夫, 井上 修作: "津波に先行する海面変動の特性に関する解析的研究"第26回地震工学研究発表会講演論文集. Vol.1. 153-156 (2001)
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[Publications] 大町 達夫, 小島 直之: "2000年鳥取県西部地震時における賀祥ダムの強震記録について"第26回地震工学研究発表会講演論文集. Vo.1. 333-336 (2001)
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[Publications] 大町 達夫, 村上 敦: "賀祥ダムの水位記録に見られる鳥取県西部地震の影響"第26回地震工学研究発表会講演論文集. Vo.1. 337-340 (2001)
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[Publications] 大町 達夫, 松本 浩幸, 築山 洋: "震源断層の破壊過程が津波に及ぼす影響"海岸工学論文集. 第48巻. 331-335 (2001)
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[Publications] T.OHMACHI, H.MATSUMOTO, H.TSUKIYAMA: "Sea Water Pressure Induced by Seismic Ground Motions and Tsunamis"Proc. of International Tsunami Symposium 2001. 595-609 (2001)
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[Publications] T.OHMACHI, S.INOUE, H.MATSUMOTO, H.TSUKIYAMA: "Tsunami Simulation Technique Considering Dynamic Seabed Displacement and Acoustic Effects of Water"Proc. of International Tsunami Symposium 2001. 775-786 (2001)
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[Publications] T.OHMACHI, H.TSUIKIYAMA, H.MATSUMOTO: "Simulation of Tsunami Induced by Dynamic Displacement of Seabed Due to Seismic Faulting"Bulletin of the Seismological Society of America. 91, 6. 1898-1909 (2001)
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[Publications] Tatsuo OHMACHI: "Tsunami Simulation Taking into Account Seismically Induced Dynamic Seabed Displacement and Acoustic Effects of Water"NATO Advanced Research Workshop. 45-47 (2001)
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[Publications] 今村文彦: "津波災害とシミュレーション"計算工学学会誌. Vol.6.,No.3. 311-315 (2001)
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[Publications] 樋渡康子, 今村文彦: "リアルタイム津波観測データを用いた波源の推定"土木学会東北支部技術研究発表会講演概要集. 平成12年度. 216-217 (2001)
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[Publications] 今村文彦: "津波災害-予測と対策-"地学雑誌. Vol.110. 828-837 (2001)
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[Publications] S.I, IWASAKI, S.SAKLATA: "Landslide Tsunami Generation Mechanism and its Detection for Early Tsunami Warning"Advances in Natural and Technological Hazards Research. 18. 229-241 (2001)
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[Publications] 平石哲也, 竹村慎治, 永瀬恭一: "南太平洋地域における植林による津波対策法の適用性"海岸工学論文集. Vol.48. 1411-1415 (2001)
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[Publications] 高田悦子, 真期俊行, 平石哲也, 榊原弘: "傾斜堤の越流・透過係数の高精度化実験"海岸工学論文集. Vol.48. 721-725 (2001)