2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規バナジウム系酸化物リチウム二次電池正極材料の開発
Project/Area Number |
13480137
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
八尾 健 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50115953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 尚志 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (10324675)
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Keywords | リチウム電池 / 正極 / バナジウム / コバルト / 結晶構造 / リートベルト解析 / トンネル構造 / サイクル特性 |
Research Abstract |
リチウム二次電池は、軽量、高エネルギー密度、高電位等の優れた特長を有し、盛んに研究されている。高性能化、低コスト化・安全性等の課題でさらなる改良進歩を行うためには、遷移金属酸化物をベースにした正極材料開発が重要である。バナジウム系酸化物は、充放電サイクル特性、コスト、低毒性あるいは資源的な面に優れた特長を有し、リチウム二次電池の正極材料として近年大いに注目されてきている。バナジウムコバルト系酸化物CoV_3O_8は、特異なトンネル構造を結晶内に持ち、リチウムイオンの挿入脱離に有利と考えられる。CoV_3O_8を高温炉を用いて合成し、得られた試料の結晶構造をリートベルト法により精密に解析した。回折パターンの計算値と測定値がよく一致した。合成したCoV_3O_8はトンネル構造を結晶内に持つことを確認した。リチウムイオン二次電池正極活物質としてのリチウムイオン挿入脱離挙動を調べた。1サイクル目の放電時には2.3V、2.05V、1.9V付近に3つのプラトーが観測され、反応が3段階で進行したが、充電時には3V付近のプラトー1段階で反応が進行した。1サイクル目の放電によりリチウムがCoV_3O_8 1mol当り約2.3molまで挿入され約180mAh/gの容量を示した。1サイクル目の充電時にはCoV_3O_8 1mol当り約0.6molまでリチウムが脱離し、約130mAh/gの容量を示した。2サイクル目以降、ほぼ同じ容量のリチウムの挿入と脱離を繰り返した。リチウムイオンがCoV_3O_8に可逆的に挿入脱離することが示され、良好なサイクル特性を示した。高性能なリチウム電池正極材料として期待される.
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