2001 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の放射線および酸化ストレス応答の分子機構と誘導遺伝子の機能に関する研究
Project/Area Number |
13480166
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米井 脩治 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60093340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 秋梅 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00260604)
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Keywords | 酸化ストレス / 放射線 / 遺伝子発現 / 誘導 / 転写制御 / 活性酸素 / OxyR / SoxRS |
Research Abstract |
細胞内での過剰の活性酸素の発生により、細胞成分は非特異的な酸化を受けさまざまな障害が引き起こされる。大腸菌においては、さまざまな環境因子や代謝によりもたらされる細胞内の活性酸素濃度の増大に対して、それを感知し、特定の遺伝子の発現の誘導を行う。このような活性酸素ストレスで誘導されるものの一つとして、スーパーオキサイドによるストレスに対するSoxRSレギュロンが知られている。SoxRタンパク質は[2Fe-2S]クラスターを持ち、これが酸化されることにより活性化され、このレギュロンの転写のアクチベーターであるSoxSタンパク質の発現を誘導する。しかし、このSoxRタンパク質の酸化還元については詳しいことは分かっていない。嫌気的条件下においても、SH基の酸化剤であるジアミドによりSoxSタンパク質の発現の誘導が観察されることより、SoxRタンパク質の酸化還元が細胞内のレドックスにより影響を受けることが考えられる。細胞内の代表的な還元機構であるチオレドキシン系とグルタレドキシン系を大腸菌も持っている。還元型のチオレドキシン及びグルタレドキシンは、NADPHを利用していくつかの酵素の水素供与体として働く事がわかっている。大腸菌の持つ2つのチオレドキシンと3つのグルタレドキシンのうち、チオレドキシンI、グルタレドキシンI、IIをコードするtrxA、grxA、grxB遺伝子の変異株において、メナジオンによるSoxSタンパクの発現誘導の増加がみられた。また、チオレドキシンレダクターゼおよびグルタチオンオキシドレダクターゼをコードするtrxB、gor遺伝子の二重変異株においても、SoxSタンパクの発現誘導の増加が見られた。SoxRタンパク質の酸化還元とこれらの還元機構との関わりについて解析していることが明らかになった。また、これらのレドックスタンパク質は大腸菌の活性化されたOxyRタンパク質の再還元の過程でも関与していることが分かった。
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[Publications] Miyabe, I., Q.-M.Zhang, K.Kino, H.Sugiyama, S.Yonei: "Mutagenic effects of 5-formyluracil on a plasmid vector during replication in Escherichia coli"International Journal of Radiation Biology. 77(1). 53-58 (2001)
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[Publications] Matsumoto, Y., Q.-M.Zhang, M.Takao, A.Yasui, S.Yonei: "Escherichia coli Nth and human hNTH1 DNA glycosylases are involved in removal of 8-oxoguanine from 8-oxoguanine/guanine mispairs in DNA"Nucleic Acids Research. 29(9). 1975-1981 (2001)
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[Publications] 米井脩治, 張 秋梅: "低線量放射線の健康影響:低線量の影響と細胞応答"日本放射線技術学会誌. (印刷中). (2002)
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[Publications] Hashiguchi, K., Q.-M.Zhang, H.Sugiyama, S.Ikeda, S.Yonei: "Characterization of 2-hydroxyadenine DNA glycosylase activity of Escherichia coli MutY protein"International Journal of Radiation Biology. (印刷中). (2002)