2003 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による分裂期チェックポイント異常を介したアポトーシスの誘発機構
Project/Area Number |
13480168
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (10019672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 浩彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (30261895)
達家 雅明 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教授 (50216991)
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Keywords | γ線 / 紫外線 / アポトーシス / シグナル伝達 / 細胞応答 / 分裂期チェックポイント / Jurkat / Aurora kinase |
Research Abstract |
これまで本研究では、放射線に対する細胞応答反応として細胞周期進行停止とアポトーシス誘発に注目し、それぞれに関わるシグナル分子の同定をその機能解析を行ってきた。特に、がん抑制遺伝子産物p53が両反応において重要な働きを果たしていることが知られているので、分裂期チェックポイントに関与するaurora kinase Aとp53との関係について解析した。まず、p53がaurora kinase Aの基質となりうるかどうか調べたところ、この酵素はp53の315番目のセリンを特異的にリン酸化すること、その結果としてp53がMdm2により容易に分解されることがわかった。興味あることに、315番目のセリンをアラニンに変えたp53を発現させるとG2/M期細胞の集積がおこった。また、細胞内のaurora kinaseAを枯渇させるとアポトーシス高感受性となり、逆にその発現量を上昇させるとp53量が低下した。このことはp53を介してaurora kinase AがG2期からM期への細胞周期進行を制御すると同時に、アポトーシス誘発にも密接に関与していることを示唆する。 一方、放射線応答性の細胞内シグナル因子を同定するため、紫外線及びγ線照射されたJurkat細胞においてどのようなタンパク質発現パターンを示すかを二次元電気泳動法により調べた。まず、未照射細胞と紫外線照射後3時間目の細胞について比較したところ、量的に差の見られるタンパク質スポットに加え、紫外線照射細胞において新たに複数のスポットが出現した。同程度の致死効果を示すγ線を照射した場合では、これとは異なったタンパク質発現パターンを示すので、両放射線で活性化されるシグナル伝達因子が異なる可能性が高い。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] F.Watanabe: "Involvement of DNA-dependent protein kinase in down-regulation of cell cycle progression"The International Journal of Biochemistry & Cell Biology. 35. 432-440 (2003)
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[Publications] H.Yajima: "Identification of a Bcl-XL binding region within the ATPase domain of Apaf-1"Biochemical and Biophysical Research Communications. 309. 520-527 (2003)
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[Publications] H.Katayama: "Phosphorylation by aurora kinase A induces Mdm-2-mediated destabilization and inhibition of p53"Nature Genetics. 36・1. 55-62 (2004)
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[Publications] A.Urushibara: "Involvement of telomere dysfunction in the induction of genome instability by radiation in scid mouse cells"Biochemical and Biophysical Research Communications. 313. 1037-1043 (2004)
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[Publications] F.Suzuki: "Radiation and Humankind (Cellular radiosensitivity and cell-type-specific activation of apoptosis signaling pathways)"ELSEVIER (Y.Shibata, S.Yamashita, M.Watanabe & M.Tomonaga, eds.). 5 (2003)
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[Publications] 鈴木文男: "生物薬科学実験講座第6巻、[1]細胞周期の解析(第1章細胞増殖の基礎)"廣川書店(井出利憲編). 26 (2003)