2002 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌由来ポリケタイド合成酵素を標的とする生物活性天然物の探索
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13480184
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海老塚 豊 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (90107384)
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Keywords | 糸状菌 / ポリケタイド / 合成酵素 / マイコトキシン / 真菌感染症 / 阻害剤 / 植物病原菌 |
Research Abstract |
Aspergillus fumigatusは、ヒトアスペルギルス症の主たる原因菌であり、ヒトへの感染にはDHN-メラニンの生成が重要な要因となつている。ポリケタイド合成酵素(PKS)Alb1pは、A. fumigatusにおけるDHN-メラニン生合成の最初の反応を触媒する鍵酵素であり、その阻害剤をスクリーニングするため、昨年度は異種糸状菌での発現系を用いたアッセイ系を検討したが、菌体が集塊し、生育にバラツキが生じる、また、時間がかかる、などの問題点があった。 そこで、単細胞で生育し、発現制御もしやすい酵母発現系を用いるin vivoアッセイ系の確立を試みた。まず、alb1 cDNAを酵母の発現ベクターpYES-DEST52に組み込み、発現プラスミドpYES-albYを構築した。これをphosphopantetheinyl transferase発現プラスミドpKOS12-128aとともに酵母INVSclに導入した。この形質転換酵母にガラクトースとエタノールによる誘導をかけると、Alb1pの発現と活性型への修飾によりAlb1p反応の生成物であり、DHN-メラニンの前駆体であるYWA1を生産した。これは、糸状菌由来PKSの酵母での機能発現として初の例である。 YWA1は406nmに極大吸収をもつことから、406nmの吸収をAlb1p PKS活性の指標として、前培養した形質転換酵母を一晩誘導培養後、培養液を酢酸エチルで抽出し、その406nm吸光度を測定するアッセイ系を構築した。 まず、Alb1p阻害のコントロールとして、既知のPKS阻害剤であるセルレニンの阻害活性を本アッセイ系で確認した。次いで、このアッセイ系を用いて、糸状菌培養抽出液240サンプルをスクリーニングし、5検体に阻害活性を見出した。その中で強い阻害活性を示した2検体について、活性本体を同定すべく培養条件、分離条件などを検討したが、単一活性物質の単離には至っていない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akira Watanabe, Yutaka Ebizuka: "A Novel Hexaketide Naphthalene Synthesized by a Chimeric Polyketide Synthase Composed of Fungal Pentaketide and Heptaketide Synthases"Tetrahedron Letters. 43. 843-846 (2002)
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[Publications] Isao Fujii, Akira Watanabe, Yutaka Ebizuka: "More Functions for Multifunctional Polyketide Synthases. In "Advances in Fungal Biotechnology for Industry, Agriculture and Medicine""Klewer Academic/Plenum Publishers (印刷中). (2003)