2003 Fiscal Year Annual Research Report
基質特異的阻害剤をツールとするグリコシダーゼの生物有機化学的研究-遷移状態:基質アナログ複合型グリコシダーゼ阻害剤の合成と応用-
Project/Area Number |
13480187
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 正保 日本食品化工株式会社, 研究所, 研究員
水谷 正治 京都大学, 化学研究所, 助手 (60303898)
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Keywords | β-グリコシルアミジン誘導体 / β-グリコシダーゼ阻害剤 / 基質アナログ / グリコン基質特異性 / アグリコン基質特異性 / アフィニティー吸着体 / チャ葉β-グルコシダーゼ / β-ガラクトシダーゼ |
Research Abstract |
本研究は、グリコシダーゼ研究のあらゆる段階で有用な「化学的ツール」となる特異的な阻害剤を開発し、それを用いてグリコシダーゼに関する汎用的な研究手法を確立することを目的としたものである。これまでの研究により、保護基を使わず糖から2段階で合成できるβ-グリコシルアミジン誘導体が、基質の構造を忠実に再現しながら、グリコシダーゼの触媒する反応の遷移状態の特徴である正電荷を組み込んだ「遷移状態:基質アナログ複合型」グリコシダーゼ阻害剤として、対応するグリコン基質特異性をもつβ-グリコシダーゼを、選択的にかつ強力に阻害する活性を有することを見いだし、その合成展開を行ってきた。本年度は、酵素のアグリコン基質特異性を利用して阻害の選択性をさらに向上させ、個々の酵素に応じた阻害剤をテーラーメードに開発する手法の確立を目指し、アグリコン部に種々のアルキル置換基および水素結合に関与する官能基を有するβ-グルコシルアミジン誘導体を多数合成し、オリジンおよびfamilyの異なるβ-グルコシダーゼに対する阻害活性を調べた。その結果、水素結合を形成するアグリコン部をもつ阻害剤が、きわめて強い阻害活性を示し、酵素のアグリコン基質特異性を阻害の選択性に反映させることができることを示した。また、酵素のグリコン基質特異性に応じた高い選択的阻害活性をもつことに着目し、β-グリコシルアミジン誘導体をリガンドとするアフィニティー吸着体を作製したところ、予想通り、対応するグリコン基質特異性をもった酵素を特異的に吸着、粗酵素抽出液から1段階で電気泳動的に単一の精製酵素を得ることに成功した。また、得られた酵素のアミノ酸配列から、当該酵素のクローニングにも成功した。この結果、β-グリコシダーゼのグリコン部の基質特異性を唯一の指標として、未知のグリコシダーゼをテーラーメードに単離し、その遺伝子をクローニングするまでの一連の研究を可能にする化学的ツールが確立できた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Inoue, J.Hiratake, M.Mizutani, M.Takada, M.Yamamoto, K.Sakata: "β-Glycosylamidine as Ligand for Affinity Chromatography Tailored to Glycon Substrate Specificity of β-Glycosidases"Carbohydrate Research. 338. 1477-1491 (2003)
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[Publications] 平竹 潤, 坂田完三: "新規グリコシダーゼ阻害剤:β-グリコシルアミジン誘導体の開発と応用"BIO INDUSTRY. 20. 44-51 (2003)
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[Publications] J.Hiratake, K.Sakata: "Glycosylamidine as Potent Selective and Easily Accessible Glycosidase Inhibitors and Their Applications to Affinity Chromatography"Methods in Enzymology. 363. 421-444 (2003)