2001 Fiscal Year Annual Research Report
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13480206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 耕一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10262073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 義一 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40114590)
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Keywords | 翻訳終結 / 翻訳制御 / リボソーム / リコーディング / ペプチド鎖解離因子 / 蛋白質合成 / tRNA分子擬態 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
本年度分として計画した、ペプチド鎖解離因子(以下、解離因子)を中心とするリボソーム構成因子及び、翻訳因子の系統的な、発現・精製・変異導入システムを実践的に応用し、終止コドン認識・識別の際に解離因子ペプチドアンチコドンを適切に機能させるための調節機能領域検索を遺伝子学的・生化学的手法を用い実施した。 そのような調節機能領域としてまず、解離因子内に、ペプチドアンチコドンに隣接する保存領域(ドメインC)の特定に成功した。ドメインCは荷電アミノ酸残基に富み、これらの荷電アミノ酸を系統的に電荷反転させた解離因子変異体は、ペプチドアンチコドンによる終止コドン暗号認識の特異性を著しく欠損し、アミノ酸に対応するセンスコドンでさえ、翻訳終結暗号として誤読する(コドン認識過程バイパス現象)という興味深い性質を示した。一方、この機能部位に人工的に導入したシステイン残基を介して付加したラジカル発生基(Fe-BABE)からのリボソームRNAへのtethered footprint法による解析結果により、この領域は、機能発現時にリボソームの暗号解読部位において、ペプチドアンチコドンの極近傍に位置することを実証した。これらの知見を総合し、tRNA擬態タンパク質である鎖解離因子が、ドメインCを介したリボソームや関連因子群との静電相互作用により、適切にペプチドアンチコドン部位をコドン解読部位に定位させることで正確なコドン識別を実現しているというモデルを提唱した。現在、ドメインCとtRNAの対応領域との機能比較解析を進めている。 本研究成果は、同時に進行する、「tRNA擬態分子と相互作用するリボソーム構成因子・翻訳因子の生化学的検索と解析」との重要な接点を提供する。この点を考慮し、現在、解離因子ドメインCと、既にスクリーニングにより得られた、関連リボソーム因子・翻訳因子との相関性解析を計画し実施中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nakamura, Y.: "A tripeptide discriminator for stop codon recognition"FEBS Letters. (in press). (2002)
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[Publications] Uno, M.: "Polypeptide release at sense and noncognate stop codons by localized charge-exchange alterations in translational release factors"Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 第99巻. 1819-1824 (2002)
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[Publications] Gong, F.: "The mechanism of tryptophan induction of tryptophanase operon expression : tryptophan inhibits release factor-mediated cleavage of TnaC-peptidyl-tRNA(Pro)"Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 第98巻. 8997-9001 (2001)
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[Publications] 伊藤耕一: "翻訳因子とtRNA擬態(「新世紀における蛋白質科学の進展」)"蛋白質 核酸 酵素. 第48巻. 1645-1650 (2001)